マンション管理士の独り言・・・459

「第3種換気」

もう1年以上も前に内覧会同行をご依頼いただいたお客様から、「玄関先が臭う」というご相談です。
管理会社や売主にクレームしても原因を究明せず、場当たり的なことでしか対処してくれないし、そもそも話を良く聞いてくれない、そうです。
つぶやき主に依頼したら“お金かかっちゃうし、それでもいいんですか?”との質問に、“それでも構わないからお願いします”とのことです。

「設備関係なら北九州ならこの業者!」ってとこがありますから、そこの職人さん2人と調査しました。
どんな状況なのかも、しっかりとヒアリングしました。
排水管の中にファイバースコープを通したり臭気測定器で測ったりです。

その結果わかったのは、排水管の設置方法の不具合などでなく、排気と吸気のバランスが悪すぎるということでした。
最近のマンションではホルムアルデヒトなどが原因で頭痛や吐き気をもよおす、いわゆるシックハウスへの対処として24時間換気が義務付けられています。
換気の方法もいろいろありますが、マンションでは第3種換気といって、排気を機械で強制的に行い、吸気の方は自然吸気と言うのが一般的です。
しかし、機械による排気能力に自然吸気が追い付かず、例えば窓を閉め切った状態でキッチンの換気扇を『強』にすると、女性の力では玄関ドアが開けられない、という状態となることもしばしばです。

今回の臭気の原因は、この排気と吸気のバランスが悪く、排気の際に排水管の中の封水が波立ち、その隙間から臭気が上がってくることが原因として考えられました。
排水管は、まっすぐに配管されるのでなく、蛇のように縦に曲がって配管されます。
そして曲がった部分には常に水が溜まっていて、下からの臭気や虫の侵入を防いでいます。この水の事を封水といいますが、この封水が機械排気により排水管内の空気が吸気され、その結果封水が波立ちそこから臭気が逃げているという状態です。

対策としては、パイプスペース内の排水管に吸気管をつなぎこみ、そこから強制的に排気された空気に見合うだけを吸気しようとすることが考えられます。
まずは、この方法を行ってみようと思います。
臭気の原因が、排水管の継手不良とか逆勾配になっているとかでなく、排気にあるというのはちょっとした驚きですが、給水・排水・吸気・排気などは「住まう」上において密接に関連していることを改めて思い知らされました。