マンション管理士の独り言・・・466

「雑損失処理」

平成20年のマンション総合調査では日本のマンションの約30%が管理費などの滞納問題を抱えています。
管理費などの滞納分は放っておいたら5年で時効になりますので、電話や面談、さらには督促状や内容証明郵便を出したり、支払い督促と言う法的手段に訴える管理組合さんだってあります。

これら管理組合さんの熱心な活動で回収できるものもあります。
つぶやき主だって、管理組合さんからのご依頼で回収作業を行うことがあります。
そんな時には夜討ち朝駆け(常識の範囲内ですよ。腎臓売れ!なんて言いませんよ)で滞納者へ督促します。
自慢じゃないですが、すごい回収率ですよ。

管理組合にとって滞納管理費回収と言うのは頭の痛い問題です。
しかし遅れ遅れでも回収できる分はまだいいのですが、回収できない分だって沢山あります。
どっちかと言うと回収できない方の割合が多いのではないのでしょうか。
“もう何年も前から誰も住んでいない、区分所有者に連絡しようにもどこにいるのかわかんない”なんていうケースはざらです。
滞納分を回収する見込みは全く立たない、という時にその滞納分の扱いはどうするのか?という難題が生じます。
「いつまでも未収金のまま、ダラダラと決算報告に載せるの?回収出来っこないなら、どこかで損切りできないの?」です。

マンション管理士の常識では、このような滞納分をチャラ(損切り)にする場合は、総会で区分所有者全員の賛成が必要とされています。
財産の処分行為になるからです。
でも全員が賛成するなんてこの世の中であり得ません。

そこで将来このような場面が来るであろうと想定し、予め分譲当初から管理規約に規定している業者さんがあります。
参考までに原文のまま紹介します。

「(債権の処理)管理組合は、管理費等並びに使用料その他管理組合が区分所有者並びに占有者に対して有する債権について著しく回収困難と判断した場合、総会の決議を経てその債権の雑損失処理を行うことが出来る」

この規定については賛否両論あると思いますが、実務的には仕方ないのかな、と思っています。アリですよ。アリ。
でも何でもかんでもチャラにするのでなく、ごく稀なケースにしか採用しませんよという姿勢が必要です。
運用には細心の注意が必要ですし、また何らかの客観的基準も必要でしょう。

教科書とおりには行きませんね、って感じです。