マンション管理士の独り言・・・468

「買ってはいけない中古マンション」

YAHOO!とかアットホームでたくさんの中古マンションが売りに出ています。
そんな中、いわくつきのマンションも売りに出ています。
売りに出してる仲介業者さんも知らないし、ましてや購入者にはわかるわけない内情を秘めたマンションです。

そのマンションはバブル華やかしき頃に売りに出され、大阪の不動産業者が5戸、10戸とまとめて購入しました。
自分で住むつもりなんて、当初からありません。
賃貸物件として購入し、家賃収入で利益を上げようとするものでした。
そして、適当なころに売却しようとも考えていました。

当初は期待通りに家賃収入も得られていました。利回り10%以上ってやつです。
しかし年数を重ねるごとに段々古ぼけちゃって、入居者が集まりません。
そして空き室期間が長くなります。
賃借人がいようがいまいが、空き家になっていようがいまいが、そんなことにお構いなく管理費・修繕積立金の負担が毎月発生するのが「分譲マンション」です。
10戸も持っていると結構な金額になります。

そんな中、一昨年の年末、臨時総会が開催されました。
議案は、「大規模修繕工事実施について」さらに「1戸当たり30万円の1時金の拠出について」です。
そのマンションでも大規模修繕工事を実施しなければいけない時期になりました。
当初の修繕積立金では不足するのが目に見えていましたので、何度か修繕積立金の値上げについて議案上程されました。
しかし、主に投資家さんたちの猛反対で廃案となっています。
そのままの状態でついに大規模修繕工事を実施しなければならない時期が待ったなしでやってきました。
その工事費用もそれまで積み立てていた修繕積立金では賄えるわけありませんので、1住戸1時金として30万円の拠出となりました。

この臨時総会は大紛糾しました。
大阪からわざわざ大口区分所有者の2業者がやってきて、「家賃収入もないのに、管理費・修繕積立金は毎月負担させられている。その上、大規模修繕工事を実施するのに1時金を出せとは何事だ!」「もっと安くて丁寧な仕事する業者を探すのが理事会の仕事だろ」挙句の果てに「理事長は修繕工事業者から賄賂もらってるんじゃないのか?」です。

これには日頃おとなしい理事長さんも切れちゃいました。
「冗談じゃないぞ。無報酬で皆のために、このマンションのために良かれと思ってやっているんだ」「そんな事言われるのなら理事長を降りる」もう喧々諤々でした。
当然ながら大規模修繕工事実施、1時金拠出という2つの議案は廃案に追い込まれちゃいました。

そしてまだ大規模修繕工事は実施されていません。
そんなマンションが何戸も売りに出されています。
扱っている仲介業者さんに怒られちゃいますので、何ていうマンションかは言いません。

YAHOO!とかアットホームには総会で紛糾したとか、大規模修繕工事が実施できないままでいる、なんて記載は全くどこにも載っていません。
いかにも良さげなマンションとして紹介されています。
でも間違っても買っちゃだめですよ。買ったら必ず後悔します。

やはりマンションは管理を買えですよ。管理の内容や状態を良く調べましょう。