マンション管理士の独り言・・・472

「早く設立総会をやってよ」

北九州のマンションは販売好調な物件が多いようです。
以前は竣工時に売れている住戸が半数、残り半数はまだ売れていなくてそれを1年くらいかけて“えっちら、おっちら”と売っていたものです。
しかし、最近では、竣工前に完売している物件も少なくありません。
売主さんホクホクです。ウ・ラ・ヤ・マ・シ・イ。

完売しているマンションならば、早めに理事長さんなんかを決める設立総会を開催すればいいのに、なかなか開催されません。
もっとも設立総会何て開催しなくとも、区分所有法上1件でも引き渡しが済めば、管理組合は法律上当然に設立されたことになります。
しかし、法律上設立されたといったって、理事長さんも決まっていないし、活動も行えず有名無実です。そこでセレモニー的な要素はあるもののやっぱり設立総会が必要になってきます。

この設立総会がなかなか開催されません。
と言うか、いつ設立総会を開催するのかは、管理会社さんの胸三寸です。
管理会社さんが「ボチボチ、設立総会を開催するべ・・」と考えたら開催されるということになります。法律にもいつまでに設立総会を開催しなさいなんて規定はありません。

設立総会が開催されない間はどうなっているかというと、多くの場合には管理会社が管理組合代行を務めます。
契約時か、或いは引き渡し時に「管理に関する承認書」というのに署名捺印を求められます。これには、“管理組合が正式に設立されるまでの間は、管理会社が管理組合を代行することを承認します”と記載されていて、それに購入者全員が署名捺印していますので、法律的に有効となります。

しかし、この代行は本来の形ではありませんので、早い時期に管理組合の設立総会を開催して、組合員から理事長を選任して本来の形にするべきなのです。
以前のように竣工時に半分くらいしか住戸が売れていない状況ならば、あまり早い時期に設立総会を開いても売れてなくてこれから住民になるという半数の意思を無視することになりますので大体8割くらいの住戸が売れてから設立総会を開催するというのが一般的なやり方でした。
しかし竣工時に完売しているならば少しでも早い時期に設立総会をやるべきです。
代行期間中は区分所有者から徴収する管理費や修繕積立金の通帳や印鑑を管理会社が同時に保管しています。
修繕積立基金などもありますので、大金ですし、何より管理組合の大切な財産です。
また多くの場合、管理会社は売主の子会社か、あるいは系列会社です。
何か共用部分に瑕疵が発見されたとしても管理組合寄りの対応をしてくれるとは限りません。
ボヤボヤしているとすぐに瑕疵担保期間の2年間なんてアッと言う間に過ぎちゃいます。
つぶやき主なんか、管理組合が瑕疵担保期間を自主的に使える時間をなるべく少なくするためにわざと設立総会開催を遅らせてる、なんて意地悪な見方をしちゃいます。

管理組合が設立されていないと理事長さんもいないし、その間は管理会社が管理組合代行となり、それで果たして管理会社は管理組合の立場に立って親会社である売主にキチンとクレームを伝えてくれるのか、さらには管理組合財産である管理費・修繕積立金という巨額の預金の通帳も印鑑も同時に保有している。
こんな状態が健全である訳ありません。
はやく設立総会を開催してよ、って言わなきゃ。