マンション管理士の独り言・・・482

「中古マンションが売れなくなる」

“つぶやき主の販売能力が低いから”それだけが原因ではありません。
このままいくと中古マンションが売れなくなりそうです。
理由はバカ高くなった修繕積立金が原因です。
新築マンション分譲時に、修繕積立金を意識的にかなり低く設定しているために、その反動で修繕積立金の値上がり額がハンパないものになっています。

新築マンションの営業マンが「ローン+管理費・修繕積立金+駐車場で○○円ですよ。今のお家賃と比較してください。あなたはまだ賃貸で我慢しますか?」なんていう切り口で購入意欲をそそります。
そしてそこでは修繕積立金の額は意図的に低額に設定し、将来積立金が値上がりするなんて販売の足を引っ張るような都合の悪いことは、なるべくならば“言わないでおこう”です。
その結果、分譲当初は㎡あたり40円とか60円くらいで、月額にしても3,000~4,000円くらいの積立金額になっています。

これで12年目くらいに実施が予定されている大規模修繕工事がまかなえるわけありません。
大規模修繕工事では大体1住戸あたり80万円くらいは必要になります。
それを見越して早いところでは5年目くらいには現行4,000円の積立金が10,000円くらいに大幅に値上げされちゃいます。
5年で値上げせず10年目での値上げになると一挙に15,000円くらいになってしまいます。
マンション管理士として、これだけの積立額は必要なので、値上げそのものについては何もいいませんが、当初から8,000円くらいで設定されていれば、こんなにドカンと値上げせずに済んだのです。
当初の売主さんが売るために意図的に安く設定した積立金のせいで、10年目には大幅な値上げとなり“そんなに積立金が高いところはちょっと・・・”と敬遠されるパターンが出来つつあります。

現在売り出し中の八幡西区のマンションでは、管理も行き届いたつぶやき主から見ても「いいマンション」なのですが、修繕積立金が月額21,000円です。
分譲当初4,000円くらいに設定していたツケが回ってきた感じです。
積立金が月額21,000円ならば、その分住戸売り出し価格を低くするしかありません。突き詰めて言えば、資産価値の低下にも結び付きます。

修繕積立金が意図的に安く設定されているマンションでは、将来の大規模修繕時にそれまでの貯金額では賄えず一時金が発生する、または“一時金が発生するなら”と大規模修繕工事が総会で否決され修繕工事が実施できない、近い将来積立金がガバッと値上がりする、
積立金値上げを審議する総会が大紛糾する、高額になった積立金により中古マンションとして売り出しても売れない、売れないから住戸の価格を低くしなきゃならない、なんて悪いことづくめです。

目先の事ばかりで決めちゃダメですよ。もっと深く考えなきゃ。