マンション管理士の独り言・・・508

「なぜ理事長になりたがらないのかの考察」

“独り言”へ立ち寄ってくれる方の検索エンジンに面白いものがありました。
『理事長就任を依頼するときの殺し文句』です。
おそらく理事長さんの成り手がいないマンションなのでしょう。
マンションが出来上がった当初は、「まだマンションが新しいうちが問題もないから、早めに理事長やった方が良いですよ」「大規模修繕工事の時期に理事長何てやったら大変ですよ。今のうちですよ」なんて調子です。
“どうせやらなきゃいけないんだったら、少しでも問題が多くなく、負荷もかからないうちに、やっちゃおうぜ”ってネガティブな動機から就任しちゃいます。

なんでそんなに理事長を嫌うのかしら?
マンションは一番小さな民主主義の教室、なんて言われます。
皆で共有するものがあり、その保守や運用、さらには生活ルールを皆で話し合って決めなきゃならないからです。
これを大きくした、突き詰めたものが日本という国の民主主義です。
この国の総理大臣は安倍さんですが、この人は一旦クジけても、更にもう一度やりたいって人で、しかもこの人以外にも総理大臣をやりたい人は大勢いて、誰がふさわしいのかを決める選挙までが行われます。

マンションの理事長より総理大臣の方が大変ですよ。
考えただけでも沖縄基地問題・TPP・中韓関係・議員定数問題その他いろいろ・・・。
諫早湾の開門問題なんて、開拓農家や漁業者との思いが複雑に絡まり合って解決するまで何年かかるかわかりません。
こんなに解決しなきゃならない大きな問題が目白押しなのに、立候補までして総理大臣になりたがります。
それにくらべりゃマンションの理事長何て大したことないと思うのですが、ほとんど全ての人が遠慮しちゃいます。

なぜ、総理大臣にはなりたがるのに、マンション理事長にはなりたがらないのか?

つぶやき主なりに理由を考えました。
はっきりとはわかりませんが、総理大臣にはステータスがあります。理事長にはステータスは、全くないわけじゃありませんが、そんなにはありません。輪番制のマンションなんかではほとんどないかもしれません。
報酬はそんなに関係なさそうです。
総理大臣にはたとえ無報酬でも立候補者は沢山いると考えられます。

権限でしょうか?
総理大臣には多くの強力な権限がありそうですが、理事長にはあんまりないですね。
標準管理規約を見ても理事長が単独で出来る事っていうのはほとんどありません。
ステータスがなくて、報酬もあまりない、権限もあるわけじゃない、ってこれじゃ成り手がいないのも頷けます。

理事長を3年間勤めたら、総会の折の議決権が3票与えられるとか、紫綬褒章をもらえるとか、公営老人ホームへ優先的に入れるとか、或いは、ひとつだけ自由勝手な規約を規定できる(例えば、理事長就任者は大型犬を飼育していい)とか、何かのメリット、ステータスが必要でしょう。
でも、実務的にはもっと権限を与えてもらわなきゃ、誰もやりたくないかな・・って感じです。

正月早々、初夢でした。