マンション管理士の独り言・・・519

「マンションを買うという事・・・その2」

前回に引き続き、マンションを買うという事を掘り下げてみます。
「マンションを買う」ということは、多くの場合、上階に他人の家族が住んでいる部屋を購入するということとなります。
最近では、階下への遮音性は比較的良くなったとはいえ、多くのマンションはLL45、LH50と言うのが基準に造られています。
LLというのは軽量衝撃音で、床にスプーンなどを落とした時に発せられるコ~ンというような軽い音の事です。
LHというのは重量衝撃音で、子供が飛び跳ねるド~ンというような音です。
L値は数字の少ない方が、遮音性能が優れています。
LL45,LH50というのは、“上階のスリッパの音は聞こえないがサンダルの音は聞こえちゃう”というレベルです。つまり聞こえちゃいます。

“マンションだから賃貸アパートと違って上階からの音が聞こえない”なんて思っちゃいけません。
床の仕上げが畳ならば遮音性能は格段に増すのですが、最近は、フロアーにしたり石材を貼ったりしますから、上階からの音は聞こえちゃいます。
それでもフロアー材でも上にアクセントラグをひいて使用すれば遮音性能は高まるのですが、最近のリビングは床暖房が大流行りですから、ちょっとお手上げです。

さらに、南面ワイドスパンのリビングなんて柱間が広く開きますので、遮音性能にはマイナス効果です。
確かに南面は広くて光が燦々と差し込むのでしょうが、階下への遮音性能は低下します。
でもLL45、LH50ならば生活するうえで受忍限度というのが裁判所の考え方ですから、くれぐれも過度の期待はしないようにしましょう。

「マンションを買う」という事は、やがて理事長などの役員になるということです。
“管理会社に管理を委託しているから役員にならなくていい”なんて勘違いしている人が、たまにいますが、管理会社に委託していようがいまいが、役員さんはいますし、理事会も活動してんですよ。
役員さんの決め方は、まず間違いなく順番制です。
ですから必ず役員は回ってくるんですよ。
役員さんになって合意形成のために汗をかかなきゃダメですよ。
年に1回は必ず開催される総会の議案作りに知恵を絞ってくださいね。

「マンションを買う」ということは、管理規約・使用細則・総会の決議に守られた生活が享受できるという事です。
民法などよりはるかに厳しいルールになっている管理規約などは、自分もそれを守らなきゃいけませんので、一見すると窮屈のように見えます。
でも“そのマンションで生活するすべての人がそれを守らなきゃならない”となっているわけですから、ストライクゾーンド真ん中の生活が享受できるということになります。
そのマンションに住まうすべての人が管理規約・使用細則・総会の決議を守ると約束して入居しています。

マンションの良いところというと、立地・環境・設備・仕様・外観デザイン・耐震性能・防犯性能等など・・・を挙げる方が多いのですが、確かにそれはそれで正解ですが、突き詰めて考えればマンションの良いところは管理規約などの存在だと思っています。