マンション管理士の独り言・・・536

「もしも、シリーズ!もしもつぶやき主が売主の企画マンだったら」

マンションの良い所、悪い所、お客様が気にする所、気にしない所、なんて全てわかってるつぶやき主が売主の企画マンだったら、“竣工完売”で利益を上げる物件を作っちゃいます。
何故、“即日完売”でなく“竣工完売”かっていうと、多くの人は販売開始のその日に完売しちゃうと「良かった。おめでとう」なんて思うのでしょうけど、実際には社内での評価はそれほど高くありません。
値付けが甘かったと言われちゃいます。
「1住戸にもう100万円ずつ乗せても売れてたんじゃない。もっと利益だせてたはずだよ」って感じです。
1番いいのは竣工時に完売することで、適正な価格設定で適正な利益を得られたという評価につながります。

でも最近では建築費、人件費の高騰、おまけに消費税まで値上がりしています。
これだけ値上がりする要因が揃っていながら、販売単価に反映させると(=つまり販売価格を上げる)たちまち売れなくなっちゃいます。
原価は上がっているけど、それを販売価格に転嫁させない工夫っていうと、質を落とすしかないじゃない、って事です。
あからさまなスペックダウンは消費者からソッポを向かれちゃいますから、販売価格も上げずに、かといって質も落とさずに造りこむのが優秀な企画マンのお仕事です。

つぶやき主企画マンが目を付けるのは共用部分です。
購入者は専有部分については、しっかり、じっくりと見定めますから、ここの質を落とすわけにはいきません。
でも共用部分については全くと言っていいほど無関心です。

そこで、まずは、消防用避難梯子を1フロアー1個だけにします。
通常は2住戸に1個くらいつけますが、住戸が10並びくらいあっても1個で済ませちゃいます。
雨水やバルコニー排水管だって2住戸に1系統です。
自分の家のバルコニー排水にお隣のバルコニー排水も一緒に処理されるのは嫌でしょうけど、この際関係ありません。
とにかく、共用部分の質を落とします。
しかし、購入者が気にする1階のエントランス廻りだけは豪華に造りこみます。
でも、エレベーターから降りて開放廊下~玄関廻りにはタイル1枚使いません。
出窓や花台なんてありませんし、門扉なんてあるわけありません。

防犯カメラや宅配ロッカーは最新タイプを設置します。
こんなのはリースですから設置する際のイニシャルコストなんて不要です。
月々のリース費用として管理組合さんが負担してくれます。
浄水器だって付けちゃいます。
浄水器は見栄えがいいのに加え、イニシャルはほとんど不要で、年に1回のフィルター取り換え時にイニシャル分を回収させちゃいます。
ガス設備だってイニシャルの全くかからないプロパンガスにします。
プロパンガス屋さんが月々のランニングでイニシャル分を回収してくれます。

ただ、お金はかかりますが、駐車場にはパイプシャッターにします。
チェーンゲートみたいな安っぽいのじゃありません。
タイル張りでゲートを造ってパイプシャッターです。
最近の購入者はおしゃれなエントランス廻りとパイプシャッターがあれば満足してくれます。

その他、水:セメント比60%、床スラブ厚200mm、コンクリート壁直貼りクロス、などなど・・・。

設置してウケや見栄えが良く、しかもイニシャルコストが不要、そしてリース品のように管理組合さんが月々のリース料で負担してくれるものを沢山造っちゃいます。