マンション管理士の独り言・・・544

「購入者も悪い」

前回に引き続き今回も、つぶやきというより愚痴に近そうですが、警鐘と受け取ってもらえれば有り難いっス。
「損か得か?」を判断基準に据えマンションを購入する方が結構います。
つぶやき主も、「今が買い時でしょうか?」「将来もし手放す時に価格はどれくらいでしょうか?」って聞かれる事がよくあります。わかりません。さっぱりわかりませんし、わかろうともしていません。
そういった購入者の心理を見透かした営業手法が取られます。
修繕積立金を販売当初は低額に抑える、なんていうのもそうです。
4,000円程度の修繕積立金は、5年後には2倍、10年後には3倍くらいに間違いなく値上がりします。
将来の値上がりには口を閉ざし、当初の安さを全面に訴えます。
「ロ~ンの支払い+管理費・修繕積立金に駐車場料金を加えても毎月○○円!今の家賃と比べて下さい。あなたは、まだ賃貸に住み続けますか?」「今が買い時!」みたいなキャッチコピーで消費者をあおります。

修繕積立金の根拠となる長期修繕計画について、その精度が国会で取り上げられたりしたので、将来の値上げについて全く触れていない長計は流石に目にする事はなくなりました。それでもページの隅に小さな文字で「修繕積立金の値上げ検討。総会決議事項」なんて程度の記載で済ませている長計は良く目にします。
また、契約時に長計を渡さずに、引渡し直前にどさくさに紛れて渡している売主の何と多い事か・・・。

このほか、北九州でまだはびこっている分譲駐車場。
1住戸の販売単価を低く抑えるために利益を駐車場代金に転嫁する、という方法です。
敷地全部を購入者に売っておきながら、駐車場を分譲出来るっていうのが頭の悪いつぶやき主には今もって理解できません。
ただ、将来組合員間でトラブルになるって言うのはハッキリと理解できます。

更に駐車場代金タダ。
タダなので、“月々の家計に優しい”なんて売り方をするのでしょうが、駐車場代金が管理組合のお財布に入って来ないので、将来の大規模修繕工事の際に修繕積立金が不足するという事態を招きます。

もう一つ言えば、「月々の修繕積立金をいつから徴収するか、管理組合総会で決める」なんていうのもあります。
総会で決まらない限りいつまでたっても修繕積立金の徴収が開始されません。
これも一見すると“月々の家計に優しい”“ 皆で徴収時期を決めるので民主的”なんて見えるのでしょうが、修繕積立金の不足となる事は明らかです。
もっともこれには、未販売住戸の修繕積立金を売主が負担しなくて良いという“奥深い悪知恵”が潜んでいたりするのですが・・・。

「損か得か?」でマンション購入を判断する消費者が多くいる限り、その心を見透かしてあの手、この手で販売手法をとってきます。

商売人じゃないんだから、損か得かでマンション購入しないでよ!でした。