マンション管理士の独り言・・・563

「管理組合への苦情」

一般の区分所有者から管理組合へ苦情が持ち込まれます。最近ご相談のあった厄介なトラブルをご紹介します。
隣戸が入浴した後に回す換気扇の音がうるさくて寝られない、というものです。
隣の方に確認しましたが、「中住戸なので風呂に窓がなく、入浴後は換気扇を回さないわけにはいかない。でも回しているのは9~10時ころまでですよ。」
どうも苦情主は10時前にはオヤスミのようです。
理事会では対応に苦慮します。
「縦並びの住戸は全く同じ条件なのに、他の住人からは苦情は一切出ていない。敏感すぎるんじゃない。」「寝る部屋を変えればいいのに。」などなど。

また換気扇の位置を変えるという方法もあるにはあるのでしょうが、工事費負担の問題があります。
特定の個人のために管理組合のお金を使う訳にもいきません。
じゃ、苦情主が払うかっていうと、そんなわけもありません。
市から騒音計を借りてきて騒音測定することとしました。
しかしこのマンションは商業地域に建っているので、おそらく基準値の範囲内で受忍限度となると思われます。

続いてはバルコニー排水のトラブルです。

そのマンションでは2つの住戸の雨水排水を1つのバルコニーに集約させています。
バルコニーの中間にある隔タテ板の下部が開いていてA住戸のバルコニーからの雨水排水はB住戸のバルコニーへ流れて行ってB住戸の排水管で処理されます。
1つの住戸に1つの雨水管とすべきなのを売主さんがケチって2つの住戸の雨水管を一つにまとめたのです。

これがトラブルになります。
A住戸の住民がバルコニーを掃除すると全部B住戸へ流れていきますから、B住戸の方は面白くありません。
B住戸では飼っていないのに、A住戸からワンちゃんの毛が流れてきたりします。
ゲリラ豪雨の時なんて、A住戸のゴミや葉っぱが流れてきてB住戸のバルコニーに溢れかえったりします。
この辺りはA住戸の方が気をつけなければならないのでしょうが、本質的にはこんなところをケチる売主の姿勢に問題アリです。
トラブルになるのがわかっていながら、“こんな仕様にするなよ!”って言いたくなります。

つぶやき主は年間40件くらいの内覧会を同行しますが、2つのバルコニーで1つの雨水管という物件に出会う事があります。
こんな時は、購入者へ、「お隣さんとトラブルにならないように気を使いましょうね」とアドバイスします。

理事会出席のためロビーで待っていたら、妙齢の女性から声を掛けられました。
「井上さんじゃない?」「ハイそうです。お世話になります。」
「久しぶりね。どうしてた?」「・・・」
「今日はどうしたの?」「ハイ、理事会へ出席するもので」「・・・」
眼鏡を掛けていなかったので、全然どなたかわかりません。妙齢の女性だったのに・・・残念なことをしました。

管理組合さんのお世話をさせていただく機会が数段増えてきています。
そのうち、「井上じゃないか。よくもあの時やってくれたよな!!」なんて人に出会わなきゃ、なんて思っています。
今更、若かりしころの悪行を悔やんでも遅すぎます。
“幼稚園からやり直せ”ってよく言われます。