マンション管理士の独り言・・・564

「マンションの仲介業はもう出来ない」

つぶやき主はマンション管理士として仕事していますが、それだけじゃ食えないので、不動産仲介業をやっています。
仕事量としてはマンション管理士9に対して不動産業1くらいの割合ですが、売り上げは管理士と不動産業で5:5くらいです。まだまだ食えないのがマンション管理士です。

エースマンションという屋号でもお分かりの通りマンションについては抜群の知識を持っているつもりですし、不動産を売ったり、買ったりをご依頼してくる方のほとんどはマンションの売買です。
ですが、最近は“売ってよ”“購入するよ”っていうお客様をお断りすることが増えてきました。
“売ってよ”と頼まれても、マンション一般についても詳しく、更にはそのマンションの管理の内情を知っていたりしますので、「残念ですが、お宅のマンションは当方では扱えません」とお断りしています。
とてもじゃないけど、こんなマンション売りつけたら、買ってもらった人に申し訳ありません。

反対に「ネットで見つけたこのマンションを購入したいので、つぶやき主さん仲介業者としてお世話してよ」ってご依頼もあります。
しかし、このマンションも買っちゃダメという物件だったりするので、これも丁重に「申し訳ありませんが、このマンションは当方では扱えません」となります。
上っ面は良く見えますが、本当に内情を知れば買うわけないマンションです。

宅建業法で義務付けられた重要事項説明書では表せないもっと奥深いところに大きな問題を抱えていたりしますので、“とてもじゃないけど、扱えない”です。
一般の消費者は絶対にわかんない事ですし、おそらくほとんどの不動産業者さんでも分かんない事です。

一例を挙げれば、建物躯体に関しては地下水が構造床スラブの鉄筋を侵食している、大雨のたびに雨水桝が溢れてエントランスが水浸しになる、外壁タイルがごそっと落ちる、明らかに不同沈下を起こしている、などです。
管理関係では、修繕積立金を分配している、とんでもないクレーマーが住んでいる、総会が毎年大荒れになる、明らかに管理会社が違法な事をやっている、駐車場の取り決めが杜撰だ、などです。

これらのことは重要事項として説明する必要はありませんし、多くの不動産屋はこんな深い内情を知りませんので、淡々と契約行為へと進んでいくのでしょうが、つぶやき主はそういうわけには行きません。
将来購入者の不利益になることがわかっているのにそれを告げずに購入してもらう事は宅建業法的にはOKであっても心情的には出来ません。

そのマンションの内情を知れば知るほど、不動産業としてはそのマンションを取り扱えなくなるというのは何とも皮肉な話です。

「これじゃどうしたって儲からないじゃない」っていう未来予想図でした。
ジッと手を見る・・・。