マンション管理士の独り言・・・56

分別管理のすすめ
私の財布にはトンとご無沙汰の福沢諭吉みたいなサブタイトルですが、今回は「管理費」「修繕積立金」を別会計にしようというお話です。
標準管理規約や、ほとんどのマンションの管理規約では、「修繕積立金は管理費とは別会計で処理しなければならない」となっています。
この規約の意味は、会計処理はもちろんのことですが、口座も別々に作成し、特に修繕積立金は、規約で定められた以外のものとして使用しないようにしておく必要があるということです。

日常の管理に要する費用は、管理費から使われるべきで、もし管理費では不足が生じたときは管理費を一時徴収することとなります。
安易に修繕積立金から流用してはいけません。
しかし管理費が不足すると、一次徴収するのは臨時総会を開催したりとなにかと手間ヒマがかかるし、また、理解が得にくいからとして、修繕積立金でまかなうケースが見られます。
このような処理は、大規模修繕時の修繕積立金不足をまねくことにつながります。
困ったことに、これを管理会社主導で行うケースが散見されます。
一次徴収なんて言い出せば、「管理会社のやり方がまずい」、「余分なところは削減しろ」、極めつけは「管理委託料を値下げしろ」、となることも考えられます。
そこで、修繕積立金からちょっとだけ流用・・・となります。
修繕積立金を目的外に使用する場合は、必ず総会の決議が必要です。理事会にも権利はありません。
このようにずさんな管理となっている管理組合のなんと多いことか!
唖然とするほどです。
管理費と修繕積立金は、どちらも管理組合の財産だから同じと思ってはいけません。
家庭と同じことです。奥さんの財布とご主人の財布とは違うでしょ。