マンション管理士の独り言・・・570

「見込み違い」

もう5年ばかりお世話している下関の管理組合さんです。
自主管理なのですが、「管理会社に委託するより自主管理のままでマンション管理士に依頼する方が、適正な活動が出来るし、何より安くすむ」と大正解の考えをお持ちの管理組合さんです。
築20年ですが3年前に大規模修繕工事を行い、管理規約の改正も行いました。
管理費などの滞納もなく、管理の行き届いたマンションになったと満足していましたが・・・。

ちょっと見込み違いの事が発生しました。
当初このマンションでは、管理規約によってペット禁止となっていましたが、分譲当初の営業マンに「ペット飼ってイイですよ」って言われた方がいたり、中古での売買の際に「ペット飼育OK」みたいに言われたとか、そんなこんなで5件くらいのお宅でペットを飼っていました。

皆が見て見ぬふりです。
そこで、規約を改正し、今飼育している1代に限りペット飼育可としました。
ペット委員会を立ち上げ、「廊下階段、エレベーター内ではペットを抱きかかえるとか、バルコニーでブラッシングしちゃダメ」とかの飼育細則も作成しました。

文字にすればたったの2~3行ですが、この間は何度もアンケートを実施し、飼育容認派と禁止派との会話会を設定したりしてとても大変な作業でした。
バルコニーにペットを出していいかどうかだけでも(実際にバルコニーで飼育している方がいたので・・・)何時間も議論を重ねました。
臨時総会では、「ペットを飼ってはダメっていうのでこのマンションを買った。このマンションを出ていけっていうのか」「中古で購入した際に不動産屋さんにペットを飼ってイイって言われた。ペットを処分しろというのか」みたいな意見が出てとても大変な思いをさせられちゃいました。

「現に飼っている1台限り」っていう結論は、ペット容認派から見ても反対にペット禁止派からみても決して満足のいく内容ではないはずです。妥協の産物です。
しかし、“ペット飼育しちゃいけない”からすると大きな成果ですし、“ルールが何もない状態”から見てもいい方向に向かったと言えると思います。

そして、大したトラブルもなく3年が過ぎて、“もうボチボチ、ペット永代飼育可にしてもいいのかな”って理事会もつぶやき主も思っていた矢先の7月初め、新規にペットを飼育しだした方が現れました。
早速、強硬なペット禁止派からは「新規に飼ってはいけないのだから絶対にダメだよ」ってワザワザ電話を掛けてきて釘を刺されました。
“せめて飼育する前に届け出があれば何とかなったかもしれないのに、もう飼ってしまってる。”です。
今月末に理事長も加わってペット委員会を開催しますが、議論がどう進むのか全く見えません。

ペット飼育者の中にも、“もう少しで永代ペット飼育可だったのに、これまでの苦労が台無しジャン”と思われている方がいるようですし、反対に新規に飼いだした方は、“既に飼っている人だけ飼育できるなんて不公平”って思っている事でしょうし・・・。

また暑く寝苦しい日が続きます。