マンション管理士の独り言・・・596

「私的自治の原則・・・契約自由の原則ともいう」

私的自治の原則と言うのは、個人間の自由な意思で締結された契約は、たとえ民法の規定と違っても公序良俗に反しない限り有効ですよ、民法より優先されますよ、って原則です。例えば個人間で年利1%の貸し借りをしたとして、これは民法の年利5%とは異なる取り決めだけど年利1%というのが公序良俗に反するわけじゃないので有効ですよ。民法の5%より当事者間で取り決めた1%の方が優先されますと、ってことです。
逆に年利20%なんてすると、公序良俗に反しアウトです。

これがマンションを購入する際の売買契約書にも活かされています。
活かされているっていうといかにも聞こえがいいのですが、実際は売主さんに悪用されてるって例が多いようです。
しかも北九州には沢山いたりしますので厄介です。

具体的には、竣工しても売れていない住戸があった場合の管理費・修繕積立金を売主が負担しないってしている売主さんの多い事。
“未販売住戸の管理費・修繕積立金は売主は負担しない”って重要事項説明書に記載されてますから、買う人も“それでいいですよ”ってなっちゃいます。
残念ながらこれは私的自治の原則から有効です。
売れない期間が長ければ長いほど、管理組合活動が窮屈になります。
それだけ修繕積立金が不足することに直結しますから、将来の大規模修繕工事時に積立金では賄えない、ってことになりますので、積立金の値上げが必須となります。
また当然ですが経費削減のため管理の内容を落としたりしなければなりません。
市へ“こんな売主けしからん!こんな重要事項説明書を何故見過ごしてるんだ!”って言っても“買う人も勉強しなきゃっ。自己責任ですよ”って追い払われますよ。

未販売住戸があっても管理費などは売主が負担するけど、売主の子会社の管理会社を変更していた時は負担しないってしている売主さんもあります。

もっと手の込んだところでは、第1回目の総会(設立総会)は住戸の80%が入居した時に開催する。そしてその設立総会で修繕積立金の徴収時期を決める、なんてしています。
これのどこが悪いのか、よ~く考えましょう。つまり設立総会が開催されるまではどれだけ未販売住戸があったって、売主さんはそれらの修繕積立金を支払わなくて良いって事じゃん。
こんなことされると、大規模修繕工事実施時に積立金がショートするのが目に見えています。管理組合さんもつぶやき主だって大弱りです。

未販売住戸があることに管理組合に何か落ち度がありますか?
売れていないってことに管理組合は何にも責任ないのに、どーしてバチかぶらなきゃなんないの?

“そんなに目くじら立てなくっても”って思うかもしれませんが、未販売住戸によって管理費・修繕積立金の未納金が2000万円を超す管理組合だってあるんですよ。

昨夜西小倉自治連合会の総会へ出席してきました。つぶやき主がお世話しているマンションで誰もなり手がなかったので、町内会長代行をもう何年もやってます。防犯灯も何基も設置し、古紙回収利益を管理組合さんへ還元してあげています。
そこでアーティックス竪町グランレゼさんが新規に町内会へ参加されました。
今年の4月に内覧会で何戸か同行させていただいたマンションです。
連休明けに入居が開始され、もう町内会へ加入です。素晴らしいです。
なかやしきエステートサービスさん、やるじゃん。