マンション管理士の独り言・・・604

「バルコニーの使い方」

分譲マンションには、専有部分と共用部分とがあります。
専有部分はその住戸を購入した人の所有権が及ぶ範囲の事で、従って原則自由に使用・収益・処分が出来る部分のことです。
共用部分と言うのは専有部分以外のものを指し、そのマンションの購入者(=区分所有者)全員の共有に属するものです。
その住戸にくっ付いているバルコニーは専有部分でなく共用部分です。
共用部分だからバルコニーは、“そのマンションの区分所有者が寄ってたかって使っていいのか?”と言われるとそんなことされたら落ち着いて寝られやしない、ってなります。
そこで共用部分ではあるけれどもその住戸の方が独占的・排他的に使える部分という事で専用使用部分となります。
戸建は勿論、同じ集合住宅と言えど、賃貸マンションにはこのような専用使用部分と言う概念はなく、分譲マンションにだけ存在します。

バルコニーは共用部分である以上、使用に際してはルールというものがあります。
代表的なものとして、コンクリート躯体部分に傷つけるようなガーデニングの禁止や手摺に布団を干すのも多くのマンションで禁止されています。このバルコニーの使い方で注意してもらいたいことが3つあります。

1つは、水を大量に流さないことです。
どのマンションでもバルコニー床には防水を施していません。
防水しているのはバルコニー手摺壁際の排水溝だけです。
つぶやき主がセンター長をしていたころのバルコニーにはスロップシンク(汚物洗いシンク)を付けていませんでした。
これをつければどうしても水を流してバルコニー床を掃除したくなり、それを何度も繰り返されると階下へ漏水する恐れがあるからです。
でも最近のマンションでは間違いなくスロップシンクが付いています。
スロップシンクは付いているからと言って、大量の水を流しての掃除はしちゃダメです。

また、隣のバルコニーをヘタテ板で間仕切っているタイプのもので、ヘタテ板下部が通じているものは、隣戸への配慮が必要です。
水は高い所(水上)から低い所(水下)へ流れますから、自分のバルコニーの排水溝が水上だと隣のバルコニー排水溝へ流れて行っちゃいます。
隣の人はいい迷惑です。
隣戸がバルコニーの掃除をするたびにゴミが自分のバルコニー溝へ流れてきて、悪くすればそれが原因で排水ドレンが詰まっちゃって、お隣さんとトラブルになるって話は良く耳にします。
最近は建築費をケチっているのかバルコニードレンを最小限にしているマンションを見かけます。購入して住む人が注意するしかありません。

2つ目は、柔軟剤です。
最近はバルコニーに洗濯物を干していると風の向きで“柔軟剤の臭いがたまらない”ってクレームを良く耳にします。
つぶやき主に言ってこられても、まさか「柔軟剤を使用した洗濯物はバルコニーに干しちゃダメ」なんて言えるわけないし、掲示だってできません。
独り言でこっそりと「あんまり柔軟剤は使わないで!」ってつぶやくしか出来ません。
柔軟剤の臭いが嫌いっていう人がいるってことを分かってもらえればラッキーです。

3つ目は、やっぱり出てきたタバコです。
多くのマンションでは共用部分での喫煙は禁止されています。
「ではバルコニーは?」と言うと、共用部分というククリでは専用使用部分とは云えども、共用部分なので禁煙となるのですが、実務的にはバルコニーを禁煙にしようとするには総会の決議を経ることが多いです。
“バルコニーも共用部分だから禁煙だ”というのはちょっと乱暴すぎる解釈で、禁煙にするのならば総会の決議を経ることをお勧めします。
でも喫煙者は、隣のバルコニーに布団や洗濯物が干している時は喫煙を控えるなどの気配りが必要です。