マンション管理士の独り言・・・605

「長期修繕計画」

まだ相変わらず新築マンションの売買契約締結時に長期修繕計画を購入者へ提出しない売主さんがいます。
宅建業法で提出を義務付けられていないとはいえ、将来間違いなく積立金が値上げされますから購入者にとっては予め知っておかなければならないことに違いありません。

つぶやき主に内覧会同行をご依頼される方には、管理規約や使用細則などの重要書類の検証も行っています。
管理規約などはそのマンションごと異なりますから、“購入マンションではこのようになっていますよ、でも標準管理規約ではこのような扱いです。他のマンションではこのように扱っているところもあります”と他のマンションとの比較をしながらご説明します。

その中で長期修繕計画についてもご説明しますので、“長期修繕計画を見せてください”と言っても“そんなのもらってない”という方があまりに多いのでびっくりします。
そして“修繕積立金の増額に直接関係することですから、売主さんからもらって下さい”と言ってもらってもらいます。
そこまでしても、“作っていません”とか“コピーは差し上げられませんが見せるだけなら見せてもいいです”なんて言うから呆れちゃいます。『あるなら出せよ!』って感じです。
作ってないわけありません。購入者でフラット35を利用する方がいれば、長期修繕計画は申し込み時に添付書類となっていますので、作成してないわけありません。
精度は兎も角、作成しています。

何故見せたがらないのかって言うと、長期修繕計画は精度が上がればあがるほど、積立額の増額に結びつきます。
毎月の積立金の額が5年目に倍増、10年後には3倍増になっている長期修繕計画を見せれば、購入者が後ずさりすると思ってか見せたがらないようです。
値上げ額が示されていない長期修繕計画では、25年目には大赤字の計画になっています。

大阪では販売当初示された長期修繕計画と入居後キチンとしたところで作成した長期修繕計画とでは維持管理に必要な額があまりに低く設定されていて、管理組合が売主を訴えたという事例も現れています。

購入者や購入希望者も、しっかり「長期修繕計画を見せてください」と言わなきゃですよ。
“ご入居後3年くらいして作成しています、管理組合さんで作成するものです、或いは当社は契約時にはお渡ししていません。管理組合発足後お渡ししています”何ていう売主さんには要注意ですよ。
北九州市内の売主さんで長期修繕計画の提出については大きく3つに分かれます。
Aタイプは売買契約締結前後に提出するところ。Bタイプは購入者に言われて提出するところ。残念ながら市内の売主さんはこのBタイプが多いようです。Cタイプは最後まで提出しないところ。

管理組合さんからのご依頼で顧問コンサルタントの一環で滞納管理費などを回収することがあります。滞納が多い管理組合さんはこのCタイプが多いと肌で感じてます。
そりゃそうなりますよ。購入時には“毎月の積立金がこんなに値上がりするとは知らなかった、聞いてなかった”に直結しますから。
入居後の管理組合活動で、管理費などの滞納問題にかかわりたくないって人は、長期修繕計画を出さない、或いは、積立額の値上げについて隠そう、隠そうっていう雰囲気の売主さんの物件はあまりお勧めしませんよ。

新築マンション購入しようとする人は、売主さんの長期修繕計画についての対応がAタイプなのか、Bか或いはCタイプなのかについても判断基準に加えなきゃですよ。