マンション管理士の独り言・・・621

「マンション共用部保険」

分譲マンションには区分所有者のものである専有部分と、そのマンションを購入した全ての区分所有者の共有に属する共用部分とに別れます。
標準管理規約では専有部分以外のものを共用部分と定めています。
専有部分はその区分所有者の所有物ですからその方の責任と負担で火災保険や損害保険などを付保します。
専有部分には火災保険を付保することを義務付けしている管理規約もあります。

一方共用部分の保険はと言うと、これは管理組合で付保することとなります。
ここ15年くらいのうちに建てられたマンションはほとんど全て管理組合が共用部分の保険を付保しています。
ただし、特約として施設賠償、個人賠償、漏水原因調査などは入っていたりいなかったりと管理組合さんで異なりますので、確認が必要です。
15年超のマンションでは、共用部分の保険に入っていない管理組合さんも良く見かけます。

こんな管理組合さんはご用心です。
共用部保険の保険料がまた値上げされそうです。
2年くらい前に各社一斉に値上げしました。
今秋あたりまた値上げされそうというのが確かな情報です。
保険事故が多いようで値上げしないとやっていけないようです。

それを裏付ける事例として築20年を超えて新たに共用部分の保険に加入しようとしても、まず断られます。
どこの保険会社さんに申し込んでもまず間違いなく断られます。
「うちのマンションは入ってて良かった」というわけにも行きません。
継続して加入の管理組合さんでもそれまでは免責1万円だったものが5万円でないとお請けできない、と条件が付けられたりします。

築20年以前のマンションでも新規に加入しようとすれば、それまでの事故の履歴によっては断られたり、あるいは漏水事故が1回でもあった時は、給排水管の更生工事を実施していることが必須になっていたりします。
今までは“どこの保険に加入しようか?数社から見積もりを取って、プレゼンテーションさせて、一番条件のいいところに加入しよう”なんて出来ていましたが、最近はやんわりと断られるケースが増えてきています。

もうすぐ築20年で、まだ共用部分の保険に加入していない管理組合さんはソソクサと付保を検討しましょう。
そして、付保する場合は出来れば5年という期間最長の商品がお勧めです。
共用部保険は保険料が値上がり傾向にありますので、長い保険期間を選ばれるのが得だと思います。