マンション管理士の独り言・・・62

前回まで「マンション管理の新たな枠組みづくりに関する調査報告書」から実際の生々しい相談事例をご紹介してきました。
このような相談を踏まえ、マンション管理の課題に対する対応策も掲載されています。
管理組合の抱える問題としては、①役員のなり手不足 ②無関心の増加、③ルール違反、④滞納者の増加、⑤修繕積立金不足 が主要なものです。
そこで今回は、①役員のなり手不足の対応策についての記載をご紹介します。

管理者(理事長)は、共用部分を保存し集会の決議を実行し、規約で定めた行為を行うという広範多岐にわたる職務を担っています。
さらに管理組合の代表として諸々の契約の締結やその他の法律行為を行い、区分所有者を代理して訴訟の原告にも被告にもなる場合があります。
具体的には、管理費やかなりの高額になる修繕積立金を管理・運用し、区分所有者のために共用部分の管理事務を行い、価値観や考え方の異なる多様な区分所有者がいる中で、管理組合運営の意志の統一、合意形成をしていくこととなり、これらはかなりのエネルギーが必要とされます。
また、区分所有者の義務である管理費などの滞納や、騒音を撒き散らすなどの迷惑行為があれば、督促したり注意したりという仕事もふえることになります。
しかも、うまくやって当たり前、ともすれば非難の的になるという覚悟もしなければならず、時間的・肉体的にも相当な犠牲を伴います。
高齢者や時間的余裕のないものには勤まらない理由はここにあるとしています。
その上で、このような理事長はじめ役員の負担軽減を図るため専門的知識を持って管理組合などの相談に応じるマンション管理士を利用しなさいとされています。
マンション管理士制度の普及を通じ、マンション管理の適正化が一層進むことが期待されると結ばれています。
また、管理会社に対しても平成18年12月策定の「マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準」に基づき、悪質な法令違反に対しては厳正かつ適正に対処するとし、このほか「マンションみらいネット」や「マンション標準管理規約」の策定、(財)マンション管理センターや地方公共団体などの多様な窓口で管理組合からの相談をうけつけられるようバックアップシステムも構築されつつあることが紹介されています。