マンション管理士の独り言・・・633

「クレジット融資」

大規模修繕工事を実施すると、一般的には見積もり金額の10~15%くらいの追加工事が発生します。
劣化診断に基づいて共通仕様書を作成し見積もってもらいますが、劣化診断は足場を組んでタイルを1枚1枚叩いて調査するわけではありません。
屋上からブランコやゴンドラと呼ばれるものでぶら下がって手の届く範囲で叩いてタイルの浮きを調べるものです。
ですから足場を組んでの調査では、劣化診断時では手が届かず叩けなかったタイルについても全数調査が出来ることとなり、補修すべきタイルの枚数に差が出てしまいます。
更に足場を組んでいる時に補修すべきという追加工事も出てきます。
このため一般的には10~15%くらいの追加工事、追加費用が発生することとなります。

修繕積立金がタップリあるなら兎も角、本体工事の費用もどうやって捻出しようかという管理組合さんがほとんどなので、追加工事の費用なんてとてもじゃないけどまかなえません。
不足資金を補う手立ては3つしかありません。
1つは一時金の徴収。2つ目は予算に合わせて工事個所を減らす。3つ目は借り入れを起こす。
1つ目の一時金の徴収は、あまり現実的ではありません。
一時金を徴収するとなると、「本当に大規模修繕工事を今しなきゃならないのか?」「今選んでいる工事施工業者よりもっと安いとこがあるんじゃないの?」「管理費などの滞納者がいるのに一時金を徴収するのはオカシイ」なんて意見が出て総会では、紛糾必至です。
2つ目の予算に合わせて工事個所を減らすというのも本末転倒です。
過分な工事をするわけでもないし、足場があるうちに最低これだけはやっていかなければ、という視点で工事個所を選定しています。

結果、3つ目の借り入れを起こすというのが一般的ですし、おススメです。
借り入れに際しては滞納率(3か月以上の滞納者が5~10%以内)などの条件はありますが、健全な管理組合さんならまず間違いなく借り入れることができます。
借り入れ先はいろいろありますが、銀行さんはあまり積極的ではないようです。
法人化していない管理組合は権利能力なき社団と言われ、責任の所在がはっきりしないし、担保なども取らないので、及び腰なのも仕方ないのかなって感じです。
住宅支援機構(旧住宅金融公庫)も融資を行います。
金利も安いし、お国がバックについているようなものなので、組合員にもスンナリと受け入れられるようです。
ただし手続きが煩雑で、要するに融通が利きにくいという印象を持っています。

それに代わるものとしてつぶやき主がいつも利用しているのが、クレジット会社です。
代表的なところでは、イオンクレジット、三菱電機クレジットです。
金利は2,3%程度と住宅支援機構より幾分高めですが、保証料がいらない、手続きが簡単などのメリットがあります。
何より優れものが、工事着工前に事前審査を通しておき、工事が終わって追加工事の額も決まり、要するに全体でかかった金額が確定してから融資額や返済回数を決めることが出来る事です。
管理組合からすれば借り入れを起こさなきゃなんない、かと言って余分に借り入れを起こすとその分金利負担もあるし、必要な分だけの借り入れとしたい、です。
総会で、○○クレジットで最大○○万円、最長○○年で借り入れをおこすことで承認を得ておき、追加工事を含めた大規模修繕工事の総額が決まったら、理事会で借入額、返済回数を決めます、としておく方法がGOOD!です。

エースマンションコンサルタントのアドレス送受信がまだまだ不調です。
ご連絡は、☎093-654-1616   FAX093-654-1617 
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