マンション管理士の独り言・・・634

「直貼り」

直貼りというのは壁や天井の仕上げ方法の一種で、コンクリートに直接壁クロスや天井クロスを貼る工法です。
最近は、壁にも下地を組んで石膏ボードを貼り、その上にクロスを貼る工法が主流です。天井仕上げでは、吊り天井、2重天井と呼ばれる工法です。
叩いてみたらすぐにわかります。木軸下地+石膏ボードではコンクリートとの間に空気層がありますから、すこし響くような感じがあります。
木軸下地+石膏ボード+クロス仕上げ=ふかし壁とも言われますが、クロス下地が平滑な石膏ボードなのでクロスが凹凸なく綺麗に貼りあがります。
コンクリートに直接貼る直貼りの場合は、コンクリート表面を平滑にしなければなりませんが、どうしても多少の凹凸は見えちゃいます。

ではふかし壁の方が優れているかと言うと、確かに仕上がりは断然綺麗ですが、大きな欠点があります。
それはコンクリートにクラックが入った時に見えないという欠点です。
クラックがもし構造的なものなら早めに発見して早めの処置が必要です。
・・・と今まで思っていました。しかしそうでもありません。

下の部屋の天井コンクリートは上の階の床コンクリートです。
壁コンクリートはお隣住戸との界壁です。
例えば天井クロスにねじったようなラインが入っているとします。天井クロスを剥いでそのクラックの深度をはからなきゃ、ですが床コンクリートの場合は超音波測定器を設置できますが天井は簡単には設置できません。
では、ってことで上階に入室させてもらって測定しようとしても、置床・直床にかかわらず床材を剥ぎ取ってしまわなきゃなりません。剥ぎ取り~調査~復旧と大変な工事になります。
上階、下階の方には“一時的にホテル住まいをしてください”っ、てことにもなり兼ねません。
それでもクラックがコンクリートを貫通していなければいいのですが、貫通していたりすると大工事になります。
また、マンションですからその部屋だけにクラックがあって、他の部屋にはない、なんてあり得ません。他の部屋にも多かれ少なかれそんな症状が現れているはずです。
上階になればなるほど、その傾向が顕著です。

“ここもあそこもクラックがあって調査しなきゃ”では管理組合さんはいくらお金があっても足りません。
「天井や壁コンクリートは室内だから、外壁のように雨風にさらされているわけでもないし、鉄筋にも水分が回らず、錆びないだろう。コンクリートだって酸性雨や排気ガス、塩害の影響も受けにくいからそんなに中性化しないだろう、って整理しちゃおう」です。

はっきり言って手を付けられない箇所です。
ですから、ふかし壁でも直貼りでも、2重天井でも差がないってことになっちゃいます。

でも壁や天井のクロスがクラックに沿ってねじれていたら気味悪いっすよ。

エースマンションコンサルタントのアドレス送受信がまだまだ不調です。
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