マンション管理士の独り言・・・636

「フェノールフタレイン溶液」

コンクリートの中性化試験をする際に、「フェノールフタレイン溶液」を使用します。
無色透明ですが、物質のアルカリ性に反応して色が赤紫色に変化します。
3センチくらいコンクリートコアを抜いて噴霧器で吹きかけるとすぐに色が変わります。
吹きかけた途端に見事に赤紫色に変色します。
あまりに見事に変色するので感動しちゃいます。
アルカリ性でない部分は色の変化はありません。
アルカリ性でない=中性化しているという事です。

分譲マンションは多くの方が住まわれているし、不特定多数の方の出入りがありますから、もしも火災が発生しても、大惨事にならないように火に強い建物でなくちゃ、です。
建築基準法上の耐火構造物でなければなりません。
ですから構造体は鉄筋コンクリート、或いは鉄骨鉄筋コンクリートで出来ています。

鉄筋コンクリートというのは文字通り、鉄筋+コンクリートで構成されます。
圧縮強度に強いが引張強度には弱いコンクリートと、反対に圧縮強度には弱いが引張強度には強い鉄筋を組み合わせたものです。
鉄筋は水分に触れ、空気に当ると酸化して錆びちゃいます。
錆びると体積が2,4倍くらいになり、膨らんだ鉄筋がコンクリートを押し出します。
この現象を爆裂といいます。
鉄筋を酸化させないようにアルカリ質のコンクリートで被覆したものが鉄筋コンクリートなのです。 す・ば・ら・し・い

ところが、コンクリートも酸性雨や排気ガス、更には塩害などで徐々にアルカリ質が失われてきます。コンクリートの中性化というものです。
中性化そのものは建物構造の劣化とは直接には結びつきませんが、鉄筋の防錆性能が無くなるという事で、爆裂しやすくなっちゃいます。
外壁仕上げがタイル張りか塗装なのかなどにより中性化の進行具合は異なってきますが、一般的には大体1年で0、8mm程度中性化が進行します。
10年経過したマンションの外壁コンクリートはコンクリート表面から深度8mmくらい中性化が進行しているってことです。
外壁は通常4~5㎝のかぶり厚が確保されていますので、計算上は50年以上は外壁コンクリートのアルカリ質が確保され、鉄筋は保護され爆裂しないということになります。

しかし、建築時に水をジャブジャブ使ったジャブコンや適正な工期が確保されておらず養生期間の足りないコンクリート、さらには水:セメント比、建っている環境(道路わきで排気ガスが沢山あたる、海沿いで塩害があるなど)でも中性化スピードは異なってきます。

大規模修繕工事の前には劣化診断を実施することとなります。1回目(築後10年~15年)ならコンクリート中性化はそんなに心配しなくてもイイですが、2回目(築後25年~30年)にはコンクリート中性化試験をすることをおススメします。
かぶり厚が足りないと鉄筋の深度までコンクリート中性化が進んでいるってこともあり得ます。海沿いのマンションならば1回目でも実施した方がいいかな・・・。

コンクリートコアを抜くときも鉄筋に当らないようにしなければなりません。そんな時は超音波探査機が優れものです。どの場所に何㎝の深さで鉄筋が入っているかを教えてくれます。かぶり厚までわかるってことです。

つぶやき主の劣化診断はここまでやります。すごいっしょ。

エースマンションコンサルタントのアドレス送受信がまだまだ不調です。
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