マンション管理士の独り言・・・637

「不在区分所有者」

ワンルームや1LDKが混在するマンションには必ず投資目的で購入する区分所有者がいます。
購入するために組んだローンの月々の支払いより、家賃収入の方が多く、要するに利回り何%で運用できるということでの購入です。
初めから自分は全く住むつもりはなく、賃料収入を得ようというのが目的です。
いわば商売です。

このように、そのマンションに住んでいない区分所有者を総称して不在区分所有者といいます。
また多くのマンションでは管理規約で役員就任要件を「現に居住すること」と規定していますので、“不在区分所有者は役員にならなくていい”ということになっちゃいます。
管理組合がしっかりしているので廊下・階段はいつも清掃が行き届いているし、エレベーターも故障しないでキチンと動いている。そのおかげで自分の住戸も高い家賃が設定できている。反面、そこに住んでいないから役員に就任しなくて良い。
管理組合がしっかり機能しているから高い家賃が設定できるという利益ばかりを得ているのに、役員に就任しなくていいという組合員としての義務を果たしていない。
“これはイイとこ取りでしょ”と思った大阪の管理組合が不在区分所有者を狙い撃ちして管理費を一律2500円アップし、これが最高裁で認められています。

しかし、実務上はそんなに簡単なものじゃありません。
不在区分所有者にはいつも頭を悩ませます。
転勤などで不本意ながら不在区分者になった方は他の大勢の現に居住している区分所有者と同じようなお考えですが、投資目的の不在区分所有者はこれらの方とは考え方が大きく異なります。
修繕積立金の値上げや駐車料金の値上げなど、値上げの議案に関してはいつも大反対です。そりゃそうですよ。商売ですから。値上げは即収入の減少に結びつきます。
“管理会社をもっと安いところに変えろ!”“管理内容を見直して管理費削減に努めろ!”“大規模修繕工事は今すぐにしなくてもイイだろ!”“マンション管理士は何やってんだ。マンション管理士なんていらないだろ”みたいな事を総会で発言します。
住んでいないからといっても区分所有者ですから発言を制限するなんて出来ません。
こんな不在区分所有者が複数人いると総会は紛糾します。
同じ目的だからでしょうか、すぐに総会の場で連帯しちゃいます。

そこに住んでいて、少しでもマンションライフを向上させようっていう思いの一般の区分所有者と投資目的の不在区分所有者とではそもそも立ち位置が全く異なります。
3LDK、4LDKのファミリー向けのマンションならばそんなことはないだろうっていうのは大間違い。確かにワンルームや1LDK混在型よりは絶対数は少ないのですが、いないことはありません。
また、完売までに時間がかかった物件では売主さんが値引きをやってたりしますので、投資目的での購入者が多くなる傾向です。

これから総会の時期です。販売当初からあまりに低額な積立金でやってきているところに対して、はキチンとした長期修繕計画を立案し、それに基づいて修繕積立金の値上げを議案化します。また紛糾するだろうなって、・・・

この時期、金麦が冷蔵庫からなくなるペースが早まります。

エースマンションコンサルタントのアドレス送受信がまだまだ不調です。
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