マンション管理士の独り言・・・644

「議案書の配布時期」

総会の季節です。
年度を〆め、決算書を作成し監査を終え、事業計画や予算案などを決め、議案書を配布しなければなりません。
いつ配布するかっていうと、一般的には、常識的には、当たり前には、管理規約に記載されている通り、総会の2週間前か、1週間前までに配布します。

ところが区分所有法や標準管理規約には議案書の配布時期は記載されていないのです。
標準管理規約などには『総会開催の2週間前までに会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。建物内に居住する組合員に対しては所定の掲示場所に掲示することで代えることが出来る。』と規定されています。
「発しなければならない」であって、「配布しなければならない」ではないのです。

これを拡大解釈?あるいは都合のいいように解釈して、“通知を発すればいいじゃん。配布とは書いてないじゃん。”という理屈を持ち出す管理会社さんがあります。
そして、実際に総会案内を期限内に掲示だけして、議案書はその後総会の前までに配布します。この理屈で行けば、議案書は総会前日に配布したっていいことになっちゃいます。

勿論、大手の管理会社さんは規約に「2週間前までに通知を発しなければならない」となっていても通知を発すだけでなく、同時に議案書を配布しています。
“そんなの当たり前でしょう”って言われました。
だって、「第1号議案 事業報告及び決算報告」「第2号議案 事業計画及び予算案」と書いているだけじゃ、“内容がわからないじゃん”です。
内容がわからないでは、総会までに十分検討することも出来ず、ましてや委任状や議決権行使書を提出何て出来っこありません。
区分所有法には総会通知は1週間前までに、標準管理規約は2週間前までに、となっています。
区分所有法の1週間前では議案書を十分に検討することが出来ないだろうから、ってことで標準管理規約では通知時期を2週間前にしているのです。

おそらく標準管理規約でも2週間前までに配布としたかったのだろうと思いますが、自主管理のマンションなんていうのもあって、その辺りに配慮したものだと考えます。

法律や規約で通知を発しなければならない、となっているのを、「通知を発して、後日議案書を配布する」管理会社と、発しなければならない、とあっても「同時に議案書まで配布する」管理会社とでは組合員に対する姿勢、会社のコンプライアンスが大きく異なると感じています。

実はつぶやき主は通知を発するというのを配布しなければならないと思っていました。
マンション管理士の試験でこんな問題が出たら、×でした。
ギリギリで合格したのに、こんな問題でてなくて良かった、です。

しかし、実際の管理の現場では“配布すべきでしょう”って考えていますし、管理会社さんに対しても“配布しなさいよ”って言い続けます。