マンション管理士の独り言・・・648

「管理費削減のため初めに外されるサービス」

新築後すぐにお声を掛けてくる管理組合さんが増えてきました。
上階からの騒音やチャイルドルームの使用法などのトラブルが生じて「売主さんの系列管理会社さんじゃ売主さんに物申せないので、つぶやき主さんお願いね」って感じです。
その他、瑕疵担保期間中の2年のうちに共用部の点検を第3者にって、素晴らしい発想をされる管理組合さんも増えてきました。

そして、ついでにって言うのも何ですが、管理規約をそのマンションの実際の生活にマッチするような見直しや、長期修繕計画をより精度の高いものにするアドバイスも行っています。
相変わらず販売時に提示された長期修繕計画は精度が低いのですが、それより何より積立金の安さにはお口アングリです。
㎡あたり50円程度で、80㎡で月額4000円程度です。
全国平均額が10,898円なのに4,000円で足りるわけないじゃん、です。
ですから、積立金の増額を総会で提案するようアドバイスを行います。

販売時にしっかりした長期修繕計画で、しかも“積立金は5年後には2倍に10年後には3倍になりますよ”って言ってくれてたらまだ助かりますが、営業マンがそんな販売の足を引っ張るようなことは言ってるはずないので、つぶやき主に説明を求められます。
他の近隣マンションの事例や国交省、住宅金融支援機構などの参考モデルや実際の大規模修繕工事時に必要となる金額などを縷々説明して理解を得ています。
売主さんの都合のいい売り方のために何でつぶやき主がその尻拭いをしてあげなきゃなんないの?です。

そのような議論の中で必ずと言っていいほど、「現在の管理サービスはほんとに必要なのか?もっとスリム化して経費削減できないのか?」っていうご意見です。
組合員に積立金の増額を求める前に無駄を省くべきだという全くもって正論です。

最近は、24時間警備、ゴミ回収サービス、防犯サービス、コンシェルジェ、など至れり尽くせりのサービスがてんこ盛りです。
でも実際には、例えばゴミ回収サービスを廃止しようとすると、“ゴミ回収サービスがあって便利だからこのマンションを購入したんだ”っていう意見が出てきます。
ゴミ回収サービスに限らず、つぶやき主から見れば過剰なサービスかなって思うものであっても、“そのサービスがあったから購入したんだ”って方が必ず現れます。
そんなこんなで販売時にパンフレットに大きく記載されているサービスを後になって管理組合で廃止するのはほとんど不可能です。

良く考えてみると変な話です。多くのサービスのコストは全部管理組合負担です。
管理組合が負担するものを売主さんはあたかも、「このマンションにはこんなに良いサービスが付いていますよ」って言って販売しているのです。

24時間警備、ゴミ回収サービス、防犯サービス、コンシェルジェなんてものは、イニシャルコストはほとんどかからず、またかかっていたとしても販売価格に転嫁されています。ランニングコストは全部管理組合負担です。
そのサービスを廃止してその分管理費削減しようとしてもなかなか上手くいきません。

そしてその結果、無駄なものの一つとして、「管理会社さんがあるんだったら、別途マンション管理士さんを雇わなくていいじゃん」ってなります。
なんだよ、それ!!!