マンション管理士の独り言・・・655

「性能くらい聞けよ!」

車を買う時には燃費だとか、馬力だとか、設備だとかその車の性能を聞いて、他の車と比較して購入するでしょ。
テレビ買う時だって、パソコンだって、携帯買うときだってその性能を聞き、他社のものと比較し、支払う金額に見合ったものかどうかを判断し、購入するっしょ。

マンションも同じですよ。
設備とか仕様とか、デザイン、価格、利便性、環境その他もろもろが購入条件に合い、更に支払う金額に見合ったものと判断すれば購入するんでしょう。
以前はこの検討のモノサシに管理に関する事柄、つまりは管理規約や使用細則、長期修繕計画などを加えている人はあんまりお見かけしませんでした。
でも最近はつぶやき主に契約前に「このマンションを買おうと思っているけど、管理規約を検証して」って持って来られる方も増えてきているので、「マンションは管理を買え」っていう意味が少しは浸透して来ているのかなって感じています。

その上で、「性能くらい聞けよ!」です。
設備とか仕様とかではなく、そのマンションが持つ構造的な、基本的な、住まう上で一番重要な性能を聞かなけりゃ、です。
特に遮音性能です。
“階下への遮音性能はどのくらいなの?”って聞かなきゃです。
住んだ後になって“上からの音がこんなにするとは思わなかった。子供を夜中まで自由に飛び跳ねさせていて常識がない”あるいは反対に、“下の人は音に対して過敏すぎるんじゃない”なんて言葉の応酬する前に、このマンションの遮音性能がどうなのかを聞いて、わかって、購入しなきゃ、です。

営業マンに、「上からの音はどのくらい聞こえるの?」って聞いて、“上階の子供さんが飛び跳ねる音はソートー聞こえますよ”と言われていれば、それを分かって購入したんでしょ、です。
でも営業マンはそうは答えませんよね、“子供さんが飛び跳ねる音何て聞こえませんよ”って言われる場合がほとんどです。
だから客観的な数値や工法を聞かなきゃです。

床スラブは在来工法か?ボイドスラブか?
スラブの厚みはいくらか?
置床工法か?直貼工法か?
システム床を採用しているのか?
梁間の長さによってどのくらい遮音性能に差が出るのか?

そしてここからが肝心です。
そもそも設計段階では遮音性能(L値)をいくらで設定しているのか?
そして竣工後、設計遮音性能が確保されているかどうかの環境調査を行うのか?
行うのであればその結果を知らせてほしい。
行わない場合は、設計遮音性能が確保されていることをどのように保証してくれるのか?
下階からの騒音クレームに対して売主としてどのような対応を取ってくれるのか?
などを購入前にキチンと聞かなきゃです。

営業マンの「分譲マンションですから音はそんなに聞こえませんよ」「市内マンションでは一般的な仕様で、騒音に対してのクレームはあんまり出ていませんよ」なんていう言葉だけで納得しちゃいけませんよ。
スラブ厚などを確認し、L値も数字できっちり押さえておきましょう。

騒音トラブルについて、上階と下階の方の住民間どうしの問題に矮小化されている気がしてなりません。