マンション管理士の独り言・・・65

マンション管理センター通信 5月号よりご紹介します
「防犯カメラ設置について」
平成20年度マンション総合調査によると「防犯カメラを設置した」とする管理組合の割合は、マンション全体で67,8%にも上がっています。
平成12年以降に完成したマンションでは、設置率81,8%となっており近年のマンションでは防犯カメラの設置は当たり前といえるでしょう。
防犯カメラを新設する際は、総会決議で区分所有者総数の過半数の賛成、いわゆる「普通決議」で決議できます。

しかし防犯カメラを設置することは、「個人情報保護法」との兼ね合いに注意を要します。
①防犯カメラに映る映像も、特定の個人を識別できるものであれば「個人情報」に該当します。
②マンション管理組合は、「個人情報保護法」上、取扱業者には該当しません。同法では、取り扱う個人の数が5000人を超えない場合は、適用除外としているからです。
③したがって、管理組合は、利用目的の特定や制限など同法上の各種の義務を負いません。
防犯カメラを設置することで、カメラに映ることになる人たちの事前の同意は必要とされません。
④警察当局への協力の場合、映っている者の同意も必要とされません。同法には、個人データを第3者に提供するときは、原則として事前に本人の同意が必要とされますが、各種の例外規定があり、このような場合はその例外に該当します。

しかし運用を誤ると「個人情報」とは別の「プライバシー」の観点から問題が生じる場合があり、以下の点に注意を要します。
①目的外使用を絶対にしない
②恣意的な取扱い、特に理事長・理事会が恣意的な決定をしない
③閲覧者が守秘義務を絶対に守る
これらを踏まえ、防犯カメラ設置に対しては、「防犯カメラ運用細則」を制定することが望ましいと考えます。
特にその①目的、②閲覧要件・手順・方法、③閲覧申請についての対応、④警察からの閲覧・複写申請に対する対応
これらを細則に盛り込むことが不可欠です。