マンション管理士の独り言・・・66

今回もマンション管理センター通信 5月号からご紹介します。

「マンションの売買と管理組合の関与」
近時マンションとしての居住環境の維持をしようとする観点などから、区分所有者が行うマンション専有部分の売買や賃貸について、管理組合が一定の関与を行おうと管理規約で定めるケースが見られます。

しかし、管理組合の権限や管理規約で定めることができる事項には限度があります。
管理規約で定めることのできる事項は、「建物またはその敷地もしくは附属施設の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項」(区分所有法第30条)に限られ、区分所有者個人の売買に介在することはできません。
区分所有権の売買は売主である現区分所有者と買主との間の契約によって行われ、当事者間の合意により有効に成立します。
したがって、個々の契約行為の中で売買の当事者間の合意で管理組合の承諾を得ることを条件とすることは可能ですが、あらかじめ一律に、売買時の条件として管理組合の承認を得る旨を定めても当事者間の合意があったとはみなされません。
また、売買の際の買主の資格につき、規約上例えば「組合員はその区分所有権を処分するときは、買主は○○○の要件を満たすものに限る」なども管理規約で定められる範囲外のものであり、仮に当該資格者以外のものを買主としてなされた売買契約であったとしても、その契約を取り消すことなどはできません。
現実的な対応としては、新しい区分所有者となった買主に対し、規約などの遵守を徹底させる方法を考えることとなります。
具体的には、
①契約時における事前届出制を徹底させる
②専有部分の利用態様および制限行為を規約で明確にしておく
③媒介業者と十分に連携をする
これらの方法が考えられます。