マンション管理士の独り言・・・677

「なかなか変えられない」

売主さんが当初設定していた運用方法だとか、設備などはその後の管理組合活動で変更しよう、或いは廃止しようとしてもなかなか出来るものではありません。
マンション購入時に営業マンから「当初はこのような運用にしていますが、その後管理組合の話し合いで変更することが出来ますよ」って言われても、確かに嘘じゃありませんがなかなか変えられるものではありません。

最近の事例を2つ。
1つは玄関オートロックの運用です。そのマンションでは朝刊を住戸前まで配達できるように朝5:30~6:30の間オートロックを解除しています。
この間ならばオートロック→普通の自動ドアになりますので、新聞配達員は自由に出入りできます。
新聞配達員どころか誰でも自由に入館出来ちゃいます。

今期理事会で、“オートロック解除中は誰でも入館できるというのは可笑しいでしょ。防犯面からみてもこの運用は取りやめるべきでは”って声が上がりました。
これに対し、“でも確かに防犯上は良くなるかもしれないけど、朝刊をエントランスまで取りにいかなきゃなんないじゃん。”という反対意見が出されます。
どちらの言い分も正しいし、利便性に重きをおくか、防犯性に重きをおくかの違いです。
そこでアンケートの実施となりました。
結果は、6:4くらいで「現行のまま。オートロックは早朝のみ解除」となりました。

つぶやき主の予想とおりです。
利便性に重きをおくか、防犯性に重きを奥かではなく、“現状のままでいいや”、という意見が大半を占めるものです。

続いては、玄関エントランス前に駐車場を増設するかどうかです。
このマンションは最近では珍しく、玄関エントランス左右が緑地帯になっています。

この緑地を伐採すれば左右に10台近くの駐車場が増やせます。
2台目駐車を希望する組合員も多く、また緑地といっても低木のツツジで、年2回の剪定ではあまりきれいと言えず、何より雑草がすぐに生い茂ってきます。
あまり手入れの行き届かない緑地帯です。

1回住戸の方にライトが反射しないように、排気ガスが入り込まないように、最大限の注意を払って図面化し使用細則を作ったうえでアンケート実施です。

しかしこれも6:4の割合で「現状のままでいい」となりました。
駐車場増設すれば来客用の確保できるし、長い目で見れば修繕積立金も潤うのですが、「現状のままでいい」です。

分譲時に売主さんが決めた運用方法や設備はなかなか変更したり廃止出来るものでありません。
それだけによく考えて、出来れば他の方法もあるけれどこのような理由でこうしています、までを説明してくれていたら後々の管理組合活動が楽になります。
というよりつぶやき主がたすかります。