マンション管理士の独り言・・・680

「暴力団排除規定」

管理規約に暴力団排除規定を盛り込もうとしたら、理事の一人から“差別や人権という面で憲法上問題がないの?”って意見が出されました。
そこで「教えて、つぶやき主さん」です。
管理規約改正や管理運営上の疑問やアドバイスを求めて電話をいただきます。
つぶやき主は北九州市のマンション管理の相談員でもありますので、電話でもアドバイスしちゃいます。

上記暴力団排除規定に関しては、“問題ないっすよ。新築マンションでは、この規定は間違いなく入っていますよ”“つぶやき主が規約改正するときもこの規定も入れてますよ”とお答えしました。
それでも納得してもらえません。
“つぶやき主さんや他のマンションが、ど~してる、こ~してる、じゃなくて、憲法上問題がないのか?ひょっとして憲法違反と訴訟を起こされても大丈夫なんでしょうね?”

“そこまで聞くのなら、説明を求めるなら、事務所に来て相談料を置いてってよ”という言葉が出かかったのをグッとこらえてお答えしました。

平成27年3月27日の最高裁判例です。
市営住宅に偽って入居し、後日暴力団員であることが発覚し、その市から退去を求められた暴力団員が「合理的理由がないまま暴力団員を不利に扱うものであり、必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであり憲法違反だ」として提訴したものです。
市では条例で「市長は入居者が暴力団員であることが判明した時は当該市営住宅の明け渡しを請求できる」としています。
1審2審は市の請求を容認しましたが、これを不服とした暴力団員は最高裁へ上告しました。最高裁では、上告を棄却し、これにより市の請求が容認されました。

上告棄却理由は、 1、市営住宅などは低額所得者・罹災者などの住宅を確保するよう施策策定するもので入居について一定の裁量権がある。 2、暴力団員は集団的常習的に暴力的行為を行うおそれがある団体の構成員であり、他の入居者の生活の平穏性が害される恐れがある 3、暴力団員は暴力団を脱退し団員でなくなることが出来るし、また市営住宅以外での居住の制限を受けるわけではない。
よって、合理的理由のない差別とは言えないし、居住の制限は公共の福祉に必要かつ合理的なものだから憲法違反ではない というものです。

法律の専門家が考え論理的にいうと上記のようになります。「なるほどそうか」です。

「暴力団排除規定」は標準管理規約には織り込まれていません。
ですから、それぞれの売主さんや管理組合で工夫をこらしたものになっています。
いろんな規定を参考にしたい方は、つぶやき主の事務所までどうぞ。

有料です。