マンション管理士の独り言・・・682

「民泊」

最近テレビでも報道されるようになりましたが、民泊ってご存知ですか?
北九州ではあまり聞きなれない言葉ですが、沖縄や京都、東京などの大都市や観光都市ではかなり問題になってきています。
マンションの所有者がその保有する部屋を何年か単位で貸す、いわゆる民法や借地借家法が想定している賃貸借ではなくて、1日とか1週間くらいのごく短い期間部屋を貸すことです。ホテル代わりに貸すのです。

賃貸で借りている部屋をこの民泊で第3者へ貸し出し、利ザヤを稼ぐなんて不届き者もいるようです。これは完全にアウト。
大家さんは賃借人が信用できそうだから貸したのであって、大家さんの承諾なしに第3者へ転貸するのは契約違反です。
それでも、「友人にちょっとの間だけ貸した」なんて開き直るそうですから呆れてしまいます。

ところが分譲マンションの場合は自己の所有する住戸を誰にどのように貸しても何も法律に違反しているわけじゃないとなります。
所有権はそのものを自由に使用・収益・処分できる権利だからです。

しかしこれをやられると管理組合は困ってしまいます。
民泊利用者は多くの場合外人旅行客で、そのほとんどが中国人のようです。
別に中国人はじめ外人の方を嫌っているわけじゃないのですが“旅の恥はかき捨てて”を地で行くように夜はドンちゃん騒ぎをする旅行客もあるようです。
また、オートロックのマンションなのに毎日違う外人旅行者がスーツケースを引っ張ってエントランスを闊歩しているところもあるようです。
部外者が入館できないようにしているオートロックが全く機能していない状態です。
特定の駐車区画には毎日違う車が停まってるってことです。

所有権で保護されているから何でもOKかというと、そうでもありません。管理規約は公序良俗に反しない限り民法に優先します。契約自由の原則からです。
また旅館業法、保険所関係、消防法の観点からも違法性がありそうです。
管理組合では、取りあえずは管理規約で民泊を禁止するしかありません。多くのマンション管理規約で、「本マンションの専有部分の用途は住居に限る」としていますが、最低でもこの条文は必要です。
それ以外にも「不特定多数の第3者に比較的短期間貸し出す、いわゆる民泊は禁止する。」などや罰則も盛り込むことも有効です。
それ以外にも有効な規定がありそうですから、研究しています。

まだ北九州にはその害が及んでいないようですが、東京オリンピックが心配です。
多くの外人観光客が押し寄せます。
飛行機で何時間もかかってやってきた彼らからすれば小倉~東京まで2時間半なんて、何てことない距離です。

管理組合で考えられるすべての対策を打っても、ヘッチャラで守らない輩がいるから困ってしまいます。
この困ってしまう輩は、売主にも管理会社にも理事長にも施工会社にもいるから苦労しています。

これからセッセとつぶやきます。