マンション管理士の独り言・・・691

「民泊」

沖縄をはじめとする観光地の分譲マンションでトラブルとなっている「民泊」についてつぶやきます。
「民泊」には法律上の定義はないようです。
強いて言えば、旅館業法の登録を行わないで自宅などに宿泊料をもらって宿泊者を泊めさせようという行為となります。
しかし現状では「民泊」は違法とされます。
現に昨年5月に旅館業法の営業許可を取らずに他人を住宅に宿泊させたとして外国人が逮捕されています。

住居っていうのは本来、人が寝泊まりする場所なのになぜ旅館業には営業許可がいるのか?って言えば、簡単に言えば住居では基本的には同じ人が同じ寝具を用いますが、旅館では多くの異なる人が宿泊するので衛生上も同じ寝具というわけにも行きません。
旅館業に許可が必要なのは、公衆衛生の観点からです。
現状では、1か月以下の短期間で住宅に宿泊させる場合には、旅館業の許可が必要とされます。

しかし東京オリンピックを前にして、さらに空き家対策としても「民泊」が注目されるようになってきました。
国交省もこれを推進しているかのように誤解している人がいますが、実際に推進しているのは“イベント民泊”と“農家民泊の対象の拡大”です。
イベント民泊とは、たとえば花火大会とかで多くの観光客が予想されるのに宿泊施設がないために多くの観光客が日帰りになってしまう。これは観光需要の取りこぼしにつながる。この解消の切り札として自治体が要請するイベント時においてのみ宿泊料を受けて人を宿泊させるのはOKよ、というものです。

農業民泊は旅行者が農村などを訪問して地域の自然、文化、交流を楽しむ滞在型の余暇を拡充し、農村などの振興を図るために農林業者などが旅館業を行える制度です。
なんとなくイメージできます。

これらに対して現在トラブルとなっているのが、インターネットを活用した海外向けマッチングサイト「airbnb」通称エアビーです。
昨年だけで約30万人の外国人がエアビーを利用して訪日しています。
そして多くの人がエアビーを利用して宿泊者を募り、業として宿泊者を自宅などに宿泊させています。
これらの大半は無許可営業と推定されます。
これについて法的に「グレーゾーン」なんていうメディアもありますが、つぶやき主は違法だと考えています。

特に分譲マンションでは絶対に認めることは出来ません。
1~2日しか滞在しない外国人が入れ替わり立ち代わり入館し、エントランスをうろついたり、駐車場には毎回違う車が停まっていたりしたら、オートロックも何もあったものじゃありません。防犯上も管理上も好ましいことではありません。
管理規約や使用細則、総会の決議なんて“へのカッパ”ですし、守られるわけありません。

投資型マンションもそうですが、民泊もそこで生活する多くの一般居住者にとって迷惑この上ないものです。
分譲マンションを金もうけに使っちゃダメです。

師曰く、「すなわち恕たるべし」 己の欲せざるところ、人に施すことなかれ。