マンション管理士の独り言・・・695

「駐車場について考える」

国交省が5年に1度、マンション総合調査を実施しています。直近では、平成25年度に最新版が出されています。
その中では、世帯主の年齢が60歳代以上という割合が50%を超えたとか、永住意識が調査のたびに高まっていて、52%が今のマンションにずっと住み続けようと考えているなど、特徴的なデータが示されています。
そんな中、ずっと昔から変わらないトラブルワースト1は、居住者間のマナーに関するものです。
その居住者間のマナーに関するものをもっと掘り下げていくと、駐車場問題、ペット飼育、生活音がこれもまた以前から変わらず、トラブルの種になっています。

つぶやき主は現在3つの管理組合さんの管理規約変更を手掛けています。
その中でいつも頭を悩ませるのが駐車場についてです。
違法駐車とか、来客用駐車場の取り扱いとか、さらには北九州独特の分譲駐車場とか、いろんな問題が内包されていますし、人によって立場とか考え方が異なるので議論が百出してまとまりません。

そのマンションでは、専有部分の譲渡(売買)の場合は、次の方に引き継げずそれまで利用していた駐車区画を一旦管理組合に返却します。
返却されたら管理組合は一定期間「駐車区画が空いた」ことを告知し、応募者多数の場合は抽選によって利用者を決めます。
とても民主的な方法ですが、これにもいろんな問題が内包されています。

仮に空駐車区画を抽選によってAさんがゲットしたとして、専有部分を売り出している区分所有者はそれまでAさんが利用していた駐車区画を利用するかというと、そのようにしている組合さんもあれば、この抽選に参加したけど外れてしまったBさんが、「今自分が使用している区画よりAさんの区画の方がいい。移動させて」と言い出し、さらにCさんDさんも「Aさんとこに移らせて」なんて言い出します。
移動希望者がいなくなるまで延々と抽選を続ける組合さんもあります。

そんなに抽選を続けていると住戸売り出し中の区分所有者から、「抽選を延々と繰り返すたびに条件の悪い駐車区画になっていく。住戸が売れなくなっちゃうジャン」とクレームが寄せられることもあります。

住戸売り出し中の区分所有者からすれば、今までは平面平置きを利用していたのに、延々と続く抽選の結果、「機械式の地下になっちゃった」じゃ売りにくくなっちゃうじゃんです。

また、空駐車区画について募集を行う際に、空駐車区画が普通車用として、現在軽区画を利用している人が応募できるかってことも浮かび上がってきます。
先ほどの平面平置きから機械式地下とは問題が異なります。
機械式であっても普通車は入りますが、軽区画には普通車は入らないのです。
募集に際して「空駐車区画は普通乗用車区画なので、軽区画の方は申し込めません」とすると、軽区画の方からクレームが付きます。
「そんなら何時まで経っても軽区画から移動できないじゃん。何故、ずっと以前から管理組合員の自分よりも、売り払って出ていく組合員の利益の方を優先するの?」って感じです。ごもっとも。

しかし、住戸売却している区分所有者の言い分もあります。「今まで普通車用駐車区画を利用していたのに、軽区画になったら住戸が売れなくなっちゃうじゃん。いくら管理組合でも個人の資産価値の低下を招くようなことをやっていいの?」こちらもごもっともです。

その辺りを丁寧に説明し、今後起こる得るであろうこともいろいろと想定し、話し合い、合意形成へと導きます。これが厄介な仕事です。
しばらく駐車場についてつぶやきます。