マンション管理士の独り言・・・702

「管理規約と総会の決議・・・マンショントラブル相談室補足説明」

今週号のリビング北九州誌の「マンショントラブル相談室」では管理規約と総会の決議とどっちが優先するのか?についてお答えしています。
紙面が限られてて、十分な回答とは言えないので、補足説明をつぶやきます。

“管理規約の内容と異なる決議が総会でなされた場合、どっちが優先する?”たって、そりゃ管理規約です。
だって、総会開催は、そもそも管理規約に定められたものだし、招集方法、議長の選出方法、決議方法だって全て規約に定められているし、その通りに行わなければなりません。
規約で総会開催が規定されているから総会開催できるのであって、その総会の決議が規約に優先するなんてあり得ません。

“規約、規約って言うけれど売主や管理会社が販売時に予め用意していた管理規約(原始管理規約)であって、皆で話し合って定めたものじゃない、それより皆で話し合って決めた総会の決議の方を優先したい”っていう気持ちはわからないでもないですが、購入時に皆はこの原始管理規約でいいですよって、「管理に関する承認書」に記名捺印してるから有効な管理規約です。

どうしても管理規約と異なる議案を承認させたいのならば、まずは規約の改正を行わなければなりません。
規約の改正は議決権総数と区分所有者数の4分の3以上の賛成が必要です。普通決議が総会出席者の過半数なのに比べてとてもハードルが高くなります。

1人が1戸ずつ所有する100戸のマンションを例に比較してみると、総会は議決権総数の半数以上の参加で成立するから50人集まればOKです。
参加者のカウントの仕方は、実出席者+委任状提出者+書面議決権行使者の合計数です。
そして普通決議というのは、参加者の過半数が承認要件ですから50人の過半数で26人の賛成でその議案は承認となります。

これに対し、特別決議は参加者の数は関係ありません。
あくまで議決権総数と区分所有者数の4分の3ですから、75人以上の賛成が求められます。承認を得るにはとても高いハードルです。
実務的には、築10年を超えた管理組合さんでは規約改正に必要な4分の3議決権を集めるのは至難の業だと思います。総会にはそんなに集まんないというのが感想です。
総会を有効に開催するための要件である議決権総数の過半数の出席さえ危うく、総会前日にフロントマンや管理員さんで電話をかけまくって委任状を提出してもらってる管理組合さんの何と多いことか・・・。

また最近は委任できる相手方について“誰でもいい”っていう管理組合さんより、“委任の相手方はその住戸に同居する配偶者及び血族1親等以内の成人者に限る”なんてしている管理組合が多いので、総会を有効に開催するために四苦八苦している組合さんをよく見かけます。

管理規約をよく読まなきゃ、ですよ。
でも読んでも、それが標準管理規約とどう違うのか?他のマンションの規約とどう違って、なぜそうなっているのか?この管理規約で不味いところはないのか?なんてことはわかんないと思いますが、そんなときはつぶやき主に聞いてください。
初回相談無料で親切丁寧にお答えしちゃいます。

それでも管理規約は読まなきゃ、ですよ。