マンション管理士の独り言・・・707

「自転車を買った・・・③」

仲のいい3人で自転車を購入しましたが、パンク修理費用やバックミラーの取り付け、更には色の塗り替えなどさまざまな問題が発生し、3人の関係が何だか怪しくなってきました。

Aさんが4,000円、Bさんが2,000円、Cさんが1,000円出して購入した自転車ですが、1度パンクし、バックミラーを取り付け、色も黒から赤に塗り替わった今でもセッセと動いています。
そんなちょっと見には変な自転車ですが、これを譲ってほしいという人が現れました。
何と購入した時と同じ7,000円で買ってくれるというのです。

Aさんは大乗り気です。
“もう随分乗ったし、買った時と同じ金額なら喜んで売っちゃうよ。”
Cさんも売ることに賛成です。“自分の好みじゃない赤い色に塗り替わったし、そもそも1週間に1度しか使えなかったので、愛着もない。売ってしまおう。”です。
ところがBさんが大反対です。
“思ったより赤い色は恰好いい。もっと乗りたい。売るのなんて嫌だ。”です。

また3人で話し合いです。
Aさんは、“7分の4の持分の自分と7分の1の持分のCさんも賛成していて合計7分の5も賛成している。更に共有者3人のうち2人が売ることに賛成しているのだから、売るっきゃないでしょ。”と主張します。

ところがBさんは猛反対です。
“例え2人が賛成でも自分の持分7分の2は絶対に売らない。そんなに売りたけりゃAさんCさんは自分の持ち分だけ売ったら。”
“そこまで言う!”
共有物を売るというのは、民法では処分行為となり共有者全員の賛成が必要です。

こうなればBさんがAさんCさんの持分を購入して全部自分の物にするか、或いはAさんCさんは自分の持ち分だけをDさんに売ってしまうかですが、購入希望者のDさんはBさんとは全く面識もなく、共有関係になって上手くいくはずもありません。

もしBさんがつぶやき主なら、売った代金から2,000円に加えて金麦1本つけるよ、で納得ですが、Bさんはなかなか手強いようです。
そんなこんなで自転車を共同購入するくらい仲の良かった3人は、その自転車で共有関係になったせいで仲違いしてしまいました。とさ。

この3人のようにならないために管理規約があるのです。管理規約に従って適法適正に対応しなきゃです。
「共有は紛争の母」です。
マンションは知らない者同士が共有関係にならざるを得ません。
皆の節度、良識ある行動と何より管理規約を守るっていう姿勢が求められます。

今年こそはマンション購入しようと思っている方は、立地や設備、間取り価格ばかりに目を向けちゃいけませんよ。きれいなパンフレットにうっとりしていちゃいけませんよ。
見ず知らずの人と共有関係になるわけですから、生活のルールとなる管理規約はしっかり理解しましょう。