マンション管理士の独り言・・・709

「なぜ、年に1度総会を開催しなければならないか?」

今回のリビング北九州誌の読者からの質問は「総会を開催しても話し合うべき議案がこれと言って見つからない。総会開かなくてもいいっしょ?」でした。
これについて紙面の許す限りで回答しましたが、もう少し補足です。

民法では、管理者=理事長は、総会で他の組合員から委任されて管理組合の業務を行っているという形となります。そして委任を受けた方(=受任者)は委任者から要請あれば事務の報告をしなければならないことになっています。(第645条)
これに基づいて区分所有法では、第34条で管理者は毎年1回集会(=総会)を開催しなければならず、更に43条で管理者は毎年1回一定の時期に業務の報告をしなければばらないと定められています。罰則規定があるほどです。
と言っても全く開かない、開催する意思のない管理者を知っていますが・・・。

さらに区分所有法に基づいて標準管理規約では、毎年新会計年度開始後2か月以内に総会を開催するよう定められています。
新会計年度開始後2か月という開催時期については、それぞれの管理規約で異なっており、最近は3か月というのをよく見かけるようになりました。
最長6か月というのを目にしたこともありました。流石にこれは長すぎ。

このように法治国家日本では、憲法 → 民法 → 区分所有法 → 標準管理規約 → そのマンションの管理規約 となっているのです。

総会で報告することは、① 今年度の事業報告 ② 今年度の決算案 ③ 監査報告 は必須ですが、それだけでなく昨年の総会で理事会が付託された事項についての状況や結末の報告をしなければなりません。
また、次年度予定の事業に関し、報告しておいたほうが良いと思われることも報告します。
例えば、次年度は「管理費・積立金の値上げについて検討を開始しますよ」なんていうのも報告します。
次年度積立金の値上げという議案を上程した際に、「そんなの聞いてないよ」って“寝耳に水”状態になる組合員を減らすための地ならしみたいなものです。

つぶやき主は、「○○について検討を開始する件について」っていうのを報告事項としてよく上程します。
“いきなり上程”でアレルギー起こされないように、“地ならし報告”です。

総会では予め配られた議案以外は採決できませんが、折角年に1度組合員が集う場所です。
前向きな意見や提案が出るような、有効な、有意義な総会にしたいものです。

間違っても怒声、怒号が飛び交うような総会にならないようにしましょう。
そんなになったら、翌年から参加者が大幅に減っちゃいます。