マンション管理士の独り言・・・711

「保証しますって、何のこと?」

民法では買主が目的物の引き渡しを受けて、その目的物に瑕疵があることを知ってから1年間、売主は瑕疵担保責任を負わなければなりません。
それじゃあまりに売主の負担が大きすぎるって事で宅建業法では、売主の瑕疵担保責任期間を引き渡し後2年間としました。
知ってから1年を、引き渡し後2年としたわけです。
それでも消費者の立場からすると短すぎるってことで、「住宅の確保品質確保の促進などに関する法律」(=品確法)によって“建物の主要構造部”と“雨水の浸入を妨げる部分”については10年の瑕疵担保期間としました。これより短くしたりとか、買主に不利になる取り決めは無効とまで定めました。

またこれとは別に屋上防水などは施工業者と防水メーカーとで10年保証をつけています。
頑張った管理組合さんでは業者と交渉し、10年→15年まで延長させたりしています。
“ここまで出来てりゃ、安心!”と思いたいとこですが、そうは問屋が・・・です。

屋上から漏水したとして、“漏水”とそう簡単には認めてくれませんし、また“漏水”と認めたとしてもその原因が瑕疵であるとはなかなか認めません。
「ドレン管が詰まってるんじゃないですか?」などと言われてなかなか現場さえ確認しようとしません。現場を確認に来てもらうのが一苦労です。

現場を確認した後も「解放廊下への漏水は法律の適用外ですよ。」「台風などの強風時に飛来物が防水層を傷つけたのでは?」「カラスが突っついたとこから漏れている。」だから“保証の適用範囲ではない”などなどです。

そこで業を煮やして第3者の専門家に見てもらいます。
施工不良が原因による漏水という報告書が出されてしぶしぶ補修工事を行ってくれる売主さんはまだいい方です。
そんな報告書が出されても、その報告書の方がおかしい、などといって漏水や瑕疵を認めません。

いくら保証書に10年保証と記載していても、それを履行してくれなきゃただの紙切れです。そもそも10年保証と言ったって、明らかに漏水個所があって、それが施工不良に伴うとなったときに、補修するってことです。多くの場合、パッチワーク程度の切り貼りで終わってしまいます。
全面張り替え何ていうのは余程のことがない限りあり得ません。

漏水があり、その原因は明らかに施工不良、であったとしても、もし業者さんがやらなければやらせる方法は訴訟かありません。
「訴訟なんか起こしたら、漏水マンションって皆に知らせるだけじゃん!財産的価値が下がるし、訴訟反対。」なんて組合員が必ず出てきます。

「そんないい加減で消費者無視の会社だとネットで言いふらしてやる。」「保証期間の瑕疵を補修しないなんて消費者に知れたらお宅のマンション売れなくなっちゃうよ」って言われたら売主さんはさぞ困るだろう、という組合員がいますが、つぶやき主の経験では、それは幻想です。
そんなのヘッチャラみたいです。

10年の保証と言うのを購入者も売主も施工会社も、よく理解しなきゃです。
10年は大変ですよ。とても長いですよ。ほんとに保証できるの?