マンション管理士の独り言・・・712

「中古マンションが売れなくなる」

つぶやき主は、マンション購入相談も承っています。
“そのマンションを買うべきですよ”とか“買わない方がいいですよ”あるいは“○○マンションよりも△△マンションの方をおススメですよ”なんてことは言いません。
営業マンが教えてくれないそのマンションの管理規約とか長期修繕計画、パンフレットなどを通し、“将来駐車場に関してトラブルが起きやすいですよ”“建築工期が短すぎますね”“上階の遮音性能は○○デシベルくらいでしょう”なんてことをアドバイスします。

それらのことを知っていて購入するのは全然OKです。知らずに購入して、後から「これを最初にわかっていたら購入しなかったのに」なんてならないようにアドバイスするのです。

購入相談では多くの方が、資産価値について質問されます。
“将来売却するときに高く売れそうですか?”“貸そうと思ったら高い家賃が設定できて、すぐに借り手も見つかりそうですか?”って聞かれます。
こんな質問には正直なところ閉口しています。
“商売人じゃないんだから、損か得かでマンション買っちゃだめですよ。毎月支払うローンや管理費などに相応する生活営めるかどうかが判断基準ですよ”って思っています。

高く売れるとか高い家賃が設定できるかどうかなんて言うのは、その時の社会情勢や市場に大きく影響されますので、現時点で正確に判断できるものじゃありません。
それでも大事なお客様です、やんわりと当たり障りのない説明を行います。
しかし、社会情勢やその時の市場に影響されないものについてはしっかりと専門家らしく説明します。

「中古で売る時は、時期によっても異なりますが、かなり減額しないと売れないでしょう」

「えっ、何故?なんで?どうして?如何して?WHY?こんな一等地で、新築時にもすぐに完売した物件なのに?」

「だって、修繕積立金が5年ごとに値上げされて、将来的には今の4倍になるじゃないっすか。」

事実、25年後には6.2倍になるマンションだって売り出されています。
現在市内の新築マンションの修繕積立金の相場は㎡当たり50円程度で、75㎡ならば3,750円です。
これが20年後には4倍の15,000円です。
購入しようとする人の多くはローンの借り入れを起こします。
毎月の支払いは、そのローンの月払い+管理費+駐車場代金+修繕積立金となります。
毎月15,000円の積立金の負担というのは、とても大きいものです。
仮に35年ローンを組むと、500万円に相当します。
購入者は、その物件価格もそうですが、それ以上に毎月トータルでいくらの負担になるのか?ってことに重きを置いています。
いくら物件価格が安くても、毎月のトータルの支払いが大きければ、購入しません。出来ません。
それでも売ろうと思うならば、物件価格を低く抑えるしかありません。

でも、ローンの残債も残ってるしそう簡単に低く抑えられるってものじゃないですよね。

ゆくゆくは北九州の市政にも、影響を及ぼしそうですが、それは次回。