マンション管理士の独り言・・・716

「修繕積立金の値上げ・・・その2」

前回は、修繕積立金の値上げ案を上程するならば、「増額の根拠として長期修繕計画」「管理経費の見直し~削減を実施」という工程が欠かせないとつぶやきました。
長期修繕計画に関しては、第2回目の大規模修繕工事で赤字が出ないような値上げ計画としましょう。
第1回目の大規模修繕工事に比べ第2回目では第1回目で実施した屋上防水、外壁補修、鉄部塗装、シーリングうち替えも再度実施するのに加えて給排水管の更生、あるいは更新工事。エレベーターリニューアル工事。屋上防水だって第1回目で被せ工法としたら第2回目では全撤去工法となりますのでその分費用がかかります。
また、第1回目には分譲時に支払った修繕積立基金がありますが、第2回目ではその基金もありませんので、その分毎月の積立金でカバーすることになります。
この辺りを考慮した長期修繕計画としなければなりません。

管理経費の見直しについては、過剰と思われる管理サービスの抽出を行いますが、これについてはアンケートを実施することになります。
“分譲時にこのサービスがあったから購入した”って組合員が少なからずいますので、アンケート結果の取り扱いには注意が必要です。多数の組合員が不要としているからと言って数字だけで判断すると危険な場合があります。理事会でよ~く検討しなくちゃです。
それと共に、管理委託料をはじめ、エレベーターメンテナンス費用や清掃代金の見直し(回数や単価)、排水管高圧洗浄の単価や頻度などをそれぞれの業者さんへ減額要請することになります。
経験上、要請しなければ全く減額されませんが、言えば何とかなるっていうのが感想です。

増額については第2回目の大規模修繕工事費が賄われるよう一気にあげてしまう場合もありますが、2倍→3倍と段階的に増額する管理組合さんが多いようです。
これについてもアンケートの実施がおススメです。

そして、いつから増額分の引き落としが開始されるのかも検討しておかなきゃ、です。
つぶやき主の場合、年度開始から増額徴収開始ってすることが多いです。
通常総会の場合はもう新年度となっていますので、遡っても良いし、年度途中からの徴収からでも構いません。
どちらの場合でも管理会社さんとは綿密な打ち合わせが必要です。

さらに、最低2回は各戸へ“○○月分から増額した積立金の引き落としが開始されます。○○月○○日が引き落とし日です。残高の確認をお願いします。”って投函が必要です。
出来れば管理費+駐車場使用料+新積立金=合計額まで記してあげると親切です。
この辺りは理事会で実施するのでなく、管理会社さんへこのように指示することとなります。

前後しますが、積立金の増額議案を上程する前に、その直近の総会で「積立金の増額について検討を開始する」ってことを報告していれば、組合員さんも気持ちの準備が出来ているから承認も得やすくなります。

修繕積立金の値上げは、なんだ、かんだで1年仕事です。