マンション管理士の独り言・・・719

「組合員の5分の1以上の総会招集」

“理事長が何かおかしい、怪しい”“組合のお金を使いこんでない?”“業者から袖の下もらってない?”なんて感じたら、監事が総会招集をできます。
でも名ばかり監事だったり、監事そのものがいなかったり、或いは監事も理事長と同じ穴のムジナだったりする場合も多く、そんな時は、区分所有者数と議決権総数の5分の1以上の発議で理事長に対し総会開催の要請が出来ます。

要請を受けた理事長は、概ね1か月以内に総会を開催しなければなりません。
しかし、開催される総会での上程議案が「理事長を解任する件」だったりすると、理事長は総会開催何てするわけありません。そんな時は開催を要請した人が招集権者となって、総会を開催することとなります。

字面で見ると簡単そうですが、そんなに簡単な話じゃありません。
招集案内は組合員全員へ配布しなければなりませんから、まずは組合員名簿の取得から始まります。
しかし理事長のみが組合員名簿を持っていたりすると中々開示してくれません。
仕方ないのでお金と手間暇かかりますが、全戸の謄本を取りその住所へ議案書などを郵送するってことになります。
当然ですが、規約に従った配布時期を守らなきゃ、です。
総会を適法に開催するだけで大変な作業です。

これを昨年末から2月にかけて2つの管理組合で行いました。どちらも小倉北区。
まずは、理事長に対し総会開催の要請書作成から始まり、その後臨時総会の議案書作成です。そして全ての住戸の謄本を取ってそのマンションへ住んでいない方へは郵送しました。
謄本を取って郵送するだけでも大変な作業でした。
Aマンションの場合は、議案はただ一つ。「総会開催してよ」ってことです。
信じられないことにこのAマンションでは築後40数年まだ1度も総会が開催されていないのです。お口あんぐり状態です。

何とか総会開催へ漕ぎ着けましたが、何とその理事長さん(法人・・・40数年ずっと管理者)は「総会を開催しなくて良い」という書面に他の組合員の賛同を取り付けて提出してきました。
区分所有法で管理者(=理事長)は年に1度総会開催が義務つけられているのに、そんなの無視で、管理者自ら総会を開催しなくて良いって書面を出してくるって信じられます?

定足数にも達し、総会は適法に開催されましたが、「総会開催しましょう」っていう唯一の議案は管理者(=理事長)の反対で否決されるという前代未聞の結末を迎えたのです。

これから第2ラウンドしなきゃ、です。

もう一つのBマンションの方は、「理事長解任」です。つぶやき主がお世話していますから総会は適法に開催されました。参加者が集まらず定足数に達せず総会が有効に開催されないかな、っていう不安もありましたが、結構な参加者です。
くだんの理事長も参加しましたが、総会では激しいバトルがあったようです。

これも第2ラウンドしなきゃ、です。

組合員の5分の1以上の総会招集を実際に経験したことのあるマンション管理士っているのでしょうか?
頭のいい法律家の方が5分の1招集を考えたのでしょうが、大変な作業です。
管理組合内部のゴタゴタですし、それにフィーも少ないし、憎まれちゃいますし、あまりやりたい仕事じゃありません。

キャシャーンがやらねば誰がやる・・・って心境です。