マンション管理士の独り言・・・723

「外壁タイル剥落」

市内マンションで外壁に貼っている大判タイルの剥落事故があっています。
60㎝×30㎝で厚み8mmなので自重もあり大判タイルです。
つぶやき主も剥落現場に行って状況確認しましたが、“これじゃ落ちるだろう”です。

外壁にタイルを貼りつける方法で主流なのが「ヴィブラート工法」といってタイルを貼りつける際に専用の機械でタイルに振動を与えながら、接着モルタルとタイルの間に空隙を生じさせないようにして、接着モルタルを充填させるものです。
この工法だとタイル裏足に接着モルタルが充填されますので、しっかりと固定されます。
貼った後に叩いても空気が入っていないのでコンコンという乾いた音はしません。
ところが剥落した現場で他のタイルを叩いてみるとコンコンという空気音がします。
コンクリートの建物の室内側ボードを貼る際に使うGLボンドという工法のようです。
剥げた後を確認すると60㎝×30㎝で厚み8mmの大判タイルをわずか4点の端っこに付けているGLボンドで接着しています。

GLボンド工法とは、コンクリート面に小さなコブシくらいの大きさの石膏系接着剤を貼付けその上に内装用石膏ボードを貼り付ける工法です。
外壁に面した室内側の仕上げとして使われる理由はコンクリート面と石膏ボードとの間にコブシくらいの空気溜まりが出来てこれが断熱材の代わりをしてくれるからです。
また、室内側ですから雨風や気温など外部環境の影響を受けにくいので、それほど接着力が求められないってこともあります。

GLボンド工法はあくまで外壁に面した室内の石膏ボードを貼る際の工法です。
これを外壁面の、しかも自重のある大判タイルに使っちゃいけません。
そりゃ、タイルは落ちるわ、です。
しかもよく見てみると大勢の人がその下を通るエントランスの梁下にも大判タイルを使用しています。
通常、人が通る梁下にはタイルは貼りません。
タイルが落ちたら通行人の頭に直撃で大けがをしちゃいます。

このような外壁に大判タイルを貼っている新築マンションが市内のアチコチにあります。
確かに大判なので見かけはいいし、ゴージャスな雰囲気を醸し出しています。
しかし、遅かれ早かれ剥落事故がアチコチで頻発するのではと心配しています。
と言うか、もう起こっているのかも知れません。

オーストラリアでは外壁にタイルを貼るのは原則禁止です。
何故って?落ちたら危険だからです。
せめて日本でも梁下にはタイルを貼らないようにしてほしいものです。
売主さん、設計士さんご注意願います。

タイルが剥落した管理組合さんは大変です。補修方法などこれから何度も臨時総会を開かなきゃ、です。

大規模修繕工事時には浮いた大判タイルの補修はどうやるのでしょう?
タイル脳天からピンニングなんて出来っこありません。すぐにタイルが割れちゃいます。
目地も無いようなものですし、目地から樹脂注入も効果が期待できません。

外壁の大判タイルはイロイロと難しいです。