マンション管理士の独り言・・・724

「要領のよい総会」

先週号のリビング北九州誌の「マンショントラブル相談室」のご質問に対する回答をもっと詳しくつぶやきます。
ご質問は、「現理事さんは慎重な方が多く、些細と思われる事案でも理事会で決定することなく何でも総会、総会といいます。組合員からも頻繁に総会を開催しすぎるんじゃない?って言われています。何かいい方法はないでしょうか?」というものでした。

そう何度も総会開催していたら集まる方も大変だけど、開催する理事会の方ももっと大変です。議案の検討から、議案書を製本するのだって組合員が多いところでは大変な作業になります。その議案書をもれなく規約で定められた日程までに配布する作業もとてもハードです。

そこで、「○○に関しては理事会に任せてね」ってする議案を予め上程しておくって方法をおススメしました。総会から「○○に関しては理事会さんに任せるから良しなに」って任せられていますから、理事会で決定実施することが出来ます。

例えば劣化診断業者を決めるのに、通常ならば「劣化診断業者を選定する件について」という議案を上程し、次の総会で「数社から見積もりを取って検討したけれど理事会ではA社に○○の金額で△△の内容で発注することとしました。この件ご承認願います」とします。
したがって劣化診断業者を決定するのに2回の総会が必要となります。

これを「劣化診断業者を決定することを理事会一任とする件について」ってして、この議案が承認となったら、劣化診断業者を決定することを理事会は総会に一任されているわけですから。出来ちゃうってなります。

この理事会一任ってやり方は高額な金額になる場合や、組合員の意見が分かれる可能性が高い議案でも可能ですが、少々荒っぽい感じがします。
そんな時は、面倒でもその都度総会を開催して合意形成のために汗をかくことを惜しまないようにしなきゃ、です。

その他、当年度の予算に予備費を確保しておいて「○○万円までならば、理事会の判断で支出できる」って総会で決めていれば機動性の確保につながります。
規約に規定することも出来ますが、将来「○○万円」を「△△万円」に変更する必要が出来た時に規約の改正(議決権総数の4分の3)で臨まなければならなくなり、ちょっと面倒くさいかな、って感じです。

この他、保存行為ならば総会はもちろん理事会の決議だって不要です。
保存行為っていうのは、例えばマンション屋上に設置しているアンテナが風で吹き飛ばされそうな状況でそのままにしていたら、マンションや第3者に損害を及ぼしそうって時に業者を呼んで撤去してしまってもいいですよ、ってことです。

総会の季節です。
要領のよい議案つくりを目指しましょう。

今週土曜日と来週月曜日は北九州市からの依頼で、マンションセミナーの講師を務めます。1時間半も話ししなくっちゃ!です。
市の担当者の人に「北橋市長も聞くの?」って聞いたら、ニコッって笑われました。