マンション管理士の独り言・・・727

「勘違い理事長」

理事長という職責を“何でもできる”って勘違いしている理事長さんがいます。
傾向とすれば長年理事長をやっている方に多いようです。
理事長さんにはほとんど何の権限も付与されていないと言えます。
理事長さんの役目は、総会で承認を得た予算案の執行や、その他総会で付託された事項を行う事、さらには総会や理事会を招集することぐらいです。
それなのに、勝手に修繕工事は行う、業者も勝手に決めてしまう、管理費などの滞納について独断で減額するなど、好き放題にやってる理事長さんを見かけます。

管理費など滞納分は「全額回収はとても不可能で、減額して一部でも回収しなきゃ。」「修繕工事だって、何社もの業者から見積もり取って、その結果、とても安くて済んだじゃん」などのそれなりの言い分があります。

確かに全額回収出来っこないなら、減額して一部でも回収する方がベターだとか、工事業者だって理事長さんのおかげで安いことに依頼できたかもしれません。
それなりに理屈は通っています。
でも決定的にダメなのは、その決定に至るまでの合意形成の手続きを踏んでいないってことです。
理事長さん個人のお金ならこれらの決定方法で何の問題もありませんが、皆がセッセと積み立てた修繕積立金を使うのですから、総会で承認を得なきゃ、です。

やがて「組合員から何か業者の決め方おかしくない?修繕積立金を私物化していない?」って疑問の声が上がり始めます。そんな時も何を勘違いしたか、長年理事長やってて自分が偉くなったつもりなのか、声を上げた組合員に高圧的な態度で臨みます。
或いは、ほんの少々のマンション管理の法律知識なんかで煙に巻こうとします。
高圧的な態度で臨まれた組合員は、そのままシュッとしぼんでしまう人もいれば、専門家であるつぶやき主へ相談しようって人もいます。
つぶやき主のアドバイスで、「やっぱり、今の理事長のやり方おかしいじゃん。」となって理事長へ「アンタのやり方おかしいってつぶやき主さんが言ってたよ」。
今度は理事長さんとつぶやき主とのバトルとステージが変わります。

でも勝負になりません。理事長さんを何年やってたってつぶやき主とはレベルが違います。
「自分にも非があったな」と反省して、組合員へ詫びることがあれば総会で詫びる。
そうすれば組合員だって「過去のことは兎も角、今後のこのマンションの管理の適正化へ向けて協力してやっていきましょう」となるのでしょうが、そんな対応がとれない人ばかりなのが不思議です。
組合員に対して火に油を注ぐような言動を繰り返す人ばっかりです。

何年も継続して理事長を務めていると、自分をそのマンションの“ヌシ”のように勘違いして君臨することが多いようです。
引き際が肝心です。去り際の美学とでもいうのでしょうか?

横綱はボロボロになってやっと勝ち越し出来る状態まで力士を続けちゃいけません。
「往年に比べれば流石に力はなくなったが、それでもまだ何場所かは優勝できる力があるのに、惜しい」って惜しまれながら引退するのが男の美学です。