マンション管理士の独り言・・・72

公正取引委員会事務総局編「マンション管理選択の時代」より
管理業者の変更を検討した管理組合の4分の1が、管理委託契約書の内容が業者変更の際の障害になったとし、また3分の1が既存の管理業者の行為が業者変更の際の障害になったとしています。

障害になった事項の中には、「管理組合が契約解除を提案できない」「管理業者の了解がなければ契約解除ができない」等取引の見直しを制限する内容のものが見られました。

また、業者変更の際に障害となった管理業者の行為については、「管理会社の変更により、マンションが売却しにくくなったり、設備の保守に支障が出る」と言われたり、「契約解除に応じない」「設備管理の引継ぎ書類を渡さない」「理事長の抱きこみ工作を行う」「会計書類の提出を求めても提出しない」などがあります。

更に管理組合が、管理業者への委託から設備保守業者との直接契約に切り替えようとしても、同管理会社と取引が多い設備保守業者は、同管理会社との関係が悪化することを恐れ、契約を辞退するケースがある。
また、設備保守業者への直接契約とするため、同業者に見積もりを依頼しても、設備保守業者から管理業者を通すよういわれ、「このマンションの管理業者から自分を通すよう強く要請されている」旨を聞いたなどがあげられています。
このように管理業者が管理組合と設備保守業者と直接取引きしようとすることを制限する事は、組合による自由な選択を阻害し、公正な競争を阻害するおそれがあるなど「不当な拘束条件付き取引」として独占禁止法上問題となる場合もあると考えられます。