マンション管理士の独り言・・・738

「リビング北九州誌詳細」

今回配布のリビング北九州のマンショントラブル相談室にマンションを購入するという事について、そこには6つの意味が含まれるって書いています。

「マンショントラブル相談室なんだから、既にマンションを購入している組合員や役員さんのマンションライフや管理運営についての質問に回答すればいいじゃん。何でこれからマンションを購入しようとする人の質問を載せるの?」って言われそうですが、これからマンションを購入しようとる人がもっと分譲マンションについてわかっていて購入すれば、多くのトラブルが未然に防げるし、売主さんがもっとキチンとした売り方をすればマンション居住者がトラブルに巻き込まれることが少なくできるからです。

そんなこんなで、マンションを購入することには6つの意味が含まれるってことをつぶやきます。
① 「専有部分の区分所有権を購入する」
分譲マンションと言うのは、一つの大きな建物を区分して複数の人が所有する居住形態のことで、その人のものの部分を専有部分、そのマンションを購入した人全員の共有になる部分のことを共用部分と言います。

どこからどこまでが専有部分?どっからが共用部分?かと言うと、ざっくりと言えば、住戸の玄関ドアを開けて目に見える空間が専有部分とされ。それ以外は共用部分です。
隣の住戸を間仕切っているコンクリートの壁はクロスに覆われて見えません。
ですから目に見えるクロスは専有部分ですが、見えないコンクリート壁は共用部分となります。
床・天井も同じ考え方です。
置床なのか直床なのか、直天なのか吊り天なのか、壁についても直貼りなのかフカシ壁なのか等仕様や仕上げ方法は異なりますが、原則としてコンクリート部分は共用部分で、コンクリートの内側が専有部分となります。

「バルコニーや玄関ドア、窓ガラスはクロスの外側じゃん。これも共用部分?」って質問に対しては、「それらも原理原則通り共用部分です」ってなります。
「それって、うちに付いてる玄関ドアは共有部分ってことでしょ。このマンションを買った人全員の共有となり、皆が寄ってたかってこの玄関ドアを使うの?そんな事されちゃ、オチオチ寝てもいられないっしょ」ってまたまた鋭いご質問です。

これに対しては、「玄関ドア本体は共用部分となるけど、その住戸の方が独占的・排他的に使える専用使用部分ってなります」です。
「専有部分でいいじゃん。何故そんなややこしい扱いになるの?」ってこれまた鋭い突っ込みです。

分譲マンションと言うのは大勢の方が住まわれていますし、不特定多数の方の出入りがあります。
ですから火事になった時に大惨事にならないように火に強い建物でなければなりません。建築基準法上の耐火構造物です。一般的には耐火構造物=コンクリート造です。
構造体は、火に強いコンクリート造ですが、建物内、住戸内に使用するものについても制限があります。
玄関ドアも制限の対象です。仮に住戸内で火事になっても隣の住戸や、廊下階段へ燃え広がらないような玄関ドアを使用するように義務つけられています。鋼板ドアです。

もしその玄関ドアを専有部分にしてしまったら、へそ曲がりな人が“鋼板ドアは嫌だ。高級感のある木製ドアにしたい”って言い出したら、止めさせることが出来ません。
専有部分なのでその所有者が自由に処分出来ちゃいます。
へそ曲りがそんなことを言い出した時に、「玄関ドアはアナタのものじゃないんですよ。玄関ドアはこのマンションを購入した全員の共有となる共用部分です。アナタには専用使用権があるだけですから、自由に処分できませんよ」となります。

誰か頭のいい人が考えたんでしょう。素晴らしい。