マンション管理士の独り言・・・745

「以前のやり方でいいじゃん」

5月は総会ラッシュでした。
3月に年度末を迎え、その2か月後までに総会を開催するっていう管理組合さんが多いので、毎年5月の土日は休めないって諦めています。

築25年を超えたマンションを数年前から顧問としてお世話しています。
築25年ですから建物の老朽化、中に住まう人の高齢化、さらには管理規約の改正を1度も行っていないので、規約の老朽化も加わっています。
現在のマンションライフとは全く異なった内容の規定が散見されます。
顧問契約締結の際にも、「管理規約の見直しを行ってね」というご要望もありましたので、今年度の通常総会で改正案を提案しました。
いきなり管理規約改正で臨むのではなく、昨年の通常総会で「管理規約の改正を行う」ということを報告事項として提案して“地ならし”も行っています。
新築マンションのほとんど全ての管理規約を持っているつぶやき主ですから、いろんなパターンを例示して理事会で揉みました。
今年2月には、管理規約説明会も実施し、改正の意味や目的、さらには改正することで今後のマンションライフがどう変わるのかも詳しく説明しました。

そして、準備万端整ったという意気で5月の通常総会に臨みました。
何か所も規約改正や新設を行うので、まとめて一緒くたに採決するのでなく、それぞれ別個に採決を行います。
議案の説明から行いますが、まずはスンナリと承認されそうな規約改正からです。
ところがここで意見が出されます。大した内容でない規約の改正なので、意見もなくスンナリと、と思っていたら「今のままでいいじゃん」です。
ご意見主はもう何度も理事長はじめ役員さんをやられた方で、今までのやり方が否定されたと思ったのか?或いは変更するほどのことじゃないじゃんと思ったのか?「今のままでいいじゃん」です。初めからつまずいてしまいました。

後に控えているのは、今まで何の届け出も必要なかったリフォームに関し、事前届け出制、理事会などの許可、L45等級以上の床材の遮音性能、さらには駐車場使用ルールの新設など生活にもっと身近な改正案ですので、いろんな意見が出されることが必至なものばかりです。
規約改正の意味やその重要性、今後変わるマンションライフなどのついての認識が不十分だと感じ、議長や理事長に相談し、当日は説明のみで採決は行わないとしました。
今後新理事会でもっと理解を深める活動をやらなければ、です。

10年超の管理組合さんを顧問としてお世話する場合は正直骨が折れます。
それまでの総会の議事録には目を通すのですが、理事会議事録までには手が回りません。
また、議事録もそんなに正確でない場合も多いです。
“長年そのやり方でやってきた”“以前そのように決まった”というご意見がアッチコッチから出されます。
今期の理事さんがその経緯を知っていて、伝えてくれればいいのですが、意見が出されて、「そういえばそのように決まっていたな」って具合です。

“今までのやり方じゃ上手くいかない、専門家を入れてアドバイスしてもらおう”ってことでつぶやき主にご依頼があるのですが、いざ“今後このようにしましょう”とすると「今までのやり方でいいじゃん。」と言われちゃいます。
では「今までのやり方で行きましょう」って云うと、“専門家のくせに全く提案もしない”ってなっちゃいます。

やり過ぎはいけないし、かといって全てを今までのやり方踏襲、もダメです。
さじ加減が難しい・・・。