マンション管理士の独り言・・・773

「議事録捏造」

総会では、予め配布された議案書に記載された議案以外は決議できません。
決議は管理規約改正などの一部の特別決議を除けば、普通決議で行われます。
総会に参加した議決権総数(実出席者+委任状提出者+書面行使者)の過半数の賛成で承認というのが普通決議です。

第1号議案の説明~ご意見頂戴~採決。続いて第2号議案~採決、第3号議案、第4号議案~と進みます。
すべての議案の採決が終われば総会も終了し、議長の他2人の議事録署名人計3名が署名した議事録が出来上がり、総会招集~総会開催~議事録完成と総会に関するすべてが終了します。
議事録には、話し合われたことが正確であることを証するため、「本議事録が真正であることを証するため議長の他2名の議事録署名人がこれに署名捺印する」と書かれます。

議事録が誰が作成するかというと、議長に作成義務があります。通常の場合、議長=理事長です。
しかし、管理会社さんに管理を委託している場合には、総会に参加した管理会社フロントマンが議事録(案)を作成し、その内容を議長が確認し、署名捺印→議事録署名人の署名捺印と回っていきます。
何時までに議事録を作成しなきゃならないかについては、規定はありませんが、通常は「2週間以内に議事録(案)を作成してきてね」ってフロントマンに依頼します。

議事録はとても大事なものです。
理事長が交代するたびの通帳名義の書き換えには、金融機関はこの議事録原本の閲覧を要求しますし、住宅金融支援機構から大規模修繕工事代金の借り入れをおこす際にも議事録が必要です。その他管理組合が訴訟を提起する際にも議事録添付が求められます。
そこには議事録には皆で集まって開催され議論され、承認されたことが正確に記載されているという前提があるからです。

この議事録に故意に事実と違うことを記載する、捏造ともいえる行為が見られます。
管理会社や売主に都合悪いことをカモフラージュするためなのか、明らかに話し合われていない事や真実とは真逆のことを記載している議事録を見かけます。
不思議なのはその虚偽記載の議事録に議長はじめ2名の議事録署名人の署名があることです。
うまいこと言われてフロントマンに言い含められたのか?それともフロントマンとグルなのか?内容を確認せずにメクラ判をついたのか?はわかりませんが、3名の署名捺印があれば要件は揃っていますので、本来は虚偽記載のものが真実の議事録になってしまいます。

後日そのおかしさに気づいた1部の組合員やつぶやき主が「総会で話し合ったことと違うじゃん。虚偽記載ジャン」と言っても、「3名の議事録署名人の方の署名捺印あるでしょ。これが真実です」と言われる前には虚しい言葉になってしまいます。
議長はじめ議事録署名人は、フロントマンから出された議事録(案)に内容をよ~く確認し、正確な記載になっているかどうかを見なければなりません。

因みに議事録の虚偽記載には20万円以下の過料が科せられます。
理事長始め役員さんは管理組合の利益第一に考え行動しなきゃならないし、そのように行動していると思っていますが、そうでない場面に遭遇することがあるのが不思議です。