マンション管理士の独り言・・・774

「鉄部塗装」

国交省発表の大規模修繕工事マニュアルでは、鉄部塗装に関して5年サイクルくらいが望ましいとされています。
海沿いのマンションなど潮風による塩害地域と一般地域のマンションとでは、鉄部の発錆具合も異なってきますが、感覚的には5年というサイクルはいいところを突いていると思います。

バルコニーフェンスや面格子などは最近ではほとんどアルミ製ですが、以前の建物ではこれらの部位に鉄製のものを使用していました。
最近のマンションでも、消火栓格納庫扉などには鉄製のものが使用されています。
築15年くらいのマンションでも雨水竪樋の掴み金物にステンレス製ではなく鉄製のものを見かけることもあります。

この鉄部の塗装は、ほおっておくと厄介です。
特にコンクリートと接地している、例えば鉄製のバルコニーフェンスでフェンス支柱がコンクリートに埋め込まれているなどで、錆びてしまってコンクリート部と鉄製支柱とが完全に分離してしまっていることがあります。
修繕は入居者が住んでいる状態で工事しなければなりませんので、極力「火」は使用しないように留意します。したがって溶接というのはあまりなされません。
では、どのようにして補強するかと言えば、現場によって異なりますが、アングル金物を製作してバルコニー下部のコンクリート部へアンカーボルトを打ち込み、それに固定という方法くらいしかありません。
お金をかければもっといい方法はあるのでしょうが、そんなに潤沢に修繕積立金のあるマンション管理組合さんなんてお目にかかったことがありません。

鉄部は錆びてしまえば、その補修には大変なお金と工事が必要になります。そして補修後は見栄えも悪くなってしまいます。バルコニー下部に無機質なアングルが設置されている状況を想像すればわかります。
ですから、鉄部は定期的に塗装が必要です。
定期的な塗装の方が、錆びてしまってからの大掛かりな補修工事に比べればずっと安上がりです。
「まだ錆びていない、塗装はもっと後でいいよ」って思いがちですが、5年サイクルくらいで定期的な塗装を心掛けたいものです。
定期的なメンテナンスが必要なものの代表として鉄部をあげましたが、それ以外の部位でもメンテナンスは必要です。「まだもつな、もっと後でいいや」はダメです。
抜本的な補修になれば、定期的なメンテナンス以上にコストとエネルギーが必要になり、それでいて補修後はあまり見栄えが良くない、ときます。

そのためにもキチンとした長期修繕計画が必要です。→ その作成には専門家が必要です → つぶやき主じゃど~ですか?