マンション管理士の独り言・・・777

「管理規約の変遷」

法律ではないけれど、国交省が「マンションの管理規約を作成したり改正したりする時の参考にしてね」という思いで作ってる標準管理規約というのがあります。
新規分譲のマンションは、ほとんどがこの標準管理規約に準拠して作られています。
標準管理規約は、有識者によるチームで数年に1度の見直しがあります。
その時々のご時世や考え方にフレキシブルに対応しようって姿勢です。
見直しなのですが、大幅に変更される規定があります。
町内会との関わりや代理人要件などがそうです。

今回は代理人要件についてつぶやきます。
平成16年度のものが平成23年、さらに平成28年に改正されました。
平成16年版では、代理人要件は1、その組合員と同居するもの 2、その住戸を借り受けたもの 3、他の組合員 4、他の組合員と同居するもの の4者に限定されていました。ところが平成23年版、平成28年度版ではこれらの代理人要件は全く無くなりました。
形の上では誰でもOKとなったのですが、「委任する人の意思を尊重し、委任者のマンションライフに対する気持ちを良くわかっている人にお願いしてね」っていう意味です。

国の方針の変化に伴って地場のデベさんにも代理人要件について変更が見られます。
例としてなかやしきさんの管理規約から代理人要件について抽出します。
平成21年11月竣工のアーティックスグランクリュ辺りまでは、代理人要件は平成16年版標準管理規約と同様に1、その組合員と同居するもの 2、その住戸を借り受けたもの 3、他の組合員 4、他の組合員と同居するもの でした。
これが平成23年9月竣工のアーティックス小倉グランゲートになると、代理人要件が、1、その組合員と同居するもの 2、その住戸を借り受けたもの、 の2者に限定されました。他の組合員というのがないので理事長や仲の良い隣人へ委任することはできません。
グランゲート以降の新築物件は、公社さんが絡んだネクスタージュ高見七条、ベイトリア門司マリーズを含め最新の黒崎コルディアまで2者に限定されています。
ここは要チェックですよ。
なかやしきさんのマンションでアーティックス小倉グランゲート以降竣工マンション管理規約では代理人要件は2者に限定されていますよ。
理事長への委任は認められていませんよ。

代理人要件を狭めることは、委任者の意思をより強く反映することが出来るという反面、実務的には総会開催に関し、かなり高い開催ハードルとなります。
理事長へ委任できないのですから、議決権総数の半数以上の参加者を集めるのが大変です。
1番大変なのは、管理会社のフロントマンと管理員さんです。
総会前日まで、電話をかけまくって参加者集めをしなければなりません。

第一交通産業さんのグランドパレスシリーズでは、代理人要件がもっと厳格で、1、その組合員と同居するもの 2、三親等以内の血族または配偶者となっています。

定足数が議決権総数の半数以上の総会でさえ、開催するのが難しいのですから、議決権総数の4分の3以上の賛成が必要とされる規約改正になると出来っこありません。
代理人要件が厳しすぎて参加者を集めるのが一苦労、って管理組合さんは早めに管理規約改正をしなきゃ、ですよ。