マンション管理士の独り言・・・782

「踊る阿呆に見る阿呆」

阿波踊りの踊り子さんの躍動感は感動もので、小股の切れ上がった足元はセクシーです。
「踊る阿呆に見る阿呆」とはよく言ったものです。どっちもどっちです。
さしずめこれが分譲マンションならば、まだ具体的内容がわからないうちに販売しちゃう売主さんと、そんな不十分な情報で購入を決めちゃうお客さんってとこでしょうか。

折尾クロステージの売れ行きが好調です。価格表には売約済マークが沢山ついています。
これだけ沢山売約済マークが付くと販売は楽チンです。
「早くしないと売れちゃいますよ」というトークで面白いほど売れます。
購入を検討している方は、“もっと検討したい”“もっと沢山の情報が欲しい”“他物件も検討してみたい”って思っていますが、「早くしないと売れちゃいますよ」攻撃の前ではあえなく撃沈されちゃいます。
かくして販売が好調となり、やがて完売となるでしょう。

申込された方に良く聞いてみると、“長期修繕計画どころか管理規約ももらってない”“床スラブの厚みもわかんない(=階下への遮音性能も不明)”“区画整理事業の全体竣工時もわからない”なんていう有様です。
販売する側もこれくらい用意しとけよ、って思いますが、残念ながら全く備えられていません。
こんな準備不足の状態で販売開始するなよ、って感じていますが、それでも売れるからいいじゃん、です。
また購入する側も、この程度の情報で購入するなよ。もっと予め知っておくべきものがあるっしょ、ですが購入しちゃいます。

言葉の端々に「公社のマンションだから大丈夫」って出てきますが、これは大きな誤りです。公社は土地の売主であって建物には全く関与していません。
将来建物に瑕疵があっても公社がアフターメンテナンスを行うなんてことはありません。建物については地場デベ6社が売主であって、公社には建物の出来栄えについて責任は全くありません。
営業マンが誤解しやすいように、また誤解するように導くならば悪質ですが、購入者もそれくらいは知っておかなきゃですよ。

折尾クロステージは区画整理事業で店舗併用の複合型マンションです。
当然管理組合は3つ出来るはずです。
地主が換地としてもらった住戸は全体で何戸なのか?その結果複数住戸所有する人は何人いるのか?その人の議決権総数は? 店舗部分と住居部分との持ち分割合は?なんていうのはとても大事なことです。

さらに管理費や修繕積立金は全体分と住居分とに分かれています。
店舗部分でしか利用しない一部共用部分もあるようです。これらの維持メンテナンス費用はどっちの財布から出すのか?

住居単独のマンションでさえ、事前に管理規約は良く読んでおく必要があるのに、店舗併用の複合型マンションで、しかも区画整理事業です。
売主、買主ともに事前にもっと知っておかなければならない事柄があります。
こんな状態で良く売るな、良く買うな?です。
「踊る阿呆に見る阿呆」です。

駅近くは便利がいいのですが、レールがこすれて鉄粉が飛散し外壁やバルコニーが黒くなります。
マンションが竣工しても区画整理事業は終わらず、工事がその後も行われるようです。
これ、うるさいっすよ。
経験則から、余計な事でした。