マンション管理士の独り言・・・785

「よ~く考えよ~」

リヴィエール八幡中央ヴァリエの広告が入っていました。リヴィエールシリーズは、クリエ中央町、桜通りヴァリエと販売好調で、勢いに乗って大蔵地区に登場です。
ホームページも充実しています。工事中の様子がアップされて見やすくなっており、これは昨年1級建築士に合格したK氏の工夫によるものです。

ですが、八幡中央ヴァリエはいただけません。駐車場の扱いがあんまりです。
これじゃ、管理組合の財務が破綻しちゃいます。
本物件は、総戸数39戸で駐車場は賃貸11区画に分譲5区画です。隣接敷地に24区画を分譲駐車場として用意しており、これを加えると40区画となり1世帯に1区画は確保できます、ってことになっています。
ここから管理組合活動にどんな支障を及ぼすかということについてつぶやきます。

まずは、敷地外の分譲駐車区画を購入した人が、「自分も管理組合員として管理組合が管理している敷地内駐車区画を借りる権利があるので貸してほしい」と言い出す可能性があるってことです。
敷地外駐車場はあくまで敷地外ですから、管理組合とは関係ありません。
「敷地外に駐車場を確保していない人を管理組合として優先して貸し出すというのはオカシイ」と言われると抗弁できないと感じます。
その意見が通ると駐車区画を確保できない組合員が生じることになります。
おそらく重要事項説明書や管理規約で「敷地外駐車場を確保している人は敷地内駐車区画を借りることについて敷地外に確保していない人に劣後する」なんて記載があるのでしょうが、敷地外の駐車区画について管理規約で定めることが出来るのか疑問です。
管理規約はあくまで管理組合が管轄する敷地や共用部分にのみ、その効力が及ぶというのが通説です。

さらに、駐車場収入が管理組合に入ってこないという大きな問題があります。
仮に駐車代金は月額1台8,000円だとします。敷地外区画は、24区画ですので、これが本来敷地内の賃貸区画ならば、月額192,000円、年間2,300,000円、15年後に大規模修繕工事を実施するとして34,500,000円が管理組合の財布に入ってこないこととなります。
駐車場収入が管理組合に入ってこない→大規模修繕工事時に工事代金が不足する→一時金の発生、もしくは月々の修繕積立金の大幅値上げ、で対応するしかありません。
あまり大幅に修繕積立金を値上げするわけにもいかないのでしょう。
その代り、引き渡し時に負担する修繕積立基金が98か月分になっています。
通常のマンションでは積立基金は40~60か月なので突出して大金になっています。
このマンションは入居後に駐車場の取り扱いに端を発し、不要なサービスを見直し、管理費削減を経由し、修繕積立金増額へと進んでいくのは明らかです。
当初からの管理サービスを見直し廃止する、修繕積立金の増額という作業は簡単ではありません。
その時の理事会さんは大変な作業を強いられます。
この間、入居者間でトラブルにならないことを願うばかりです。
サンエージェンシーN氏頑張れ。

一番得するのは売主である九州三共さんです。39戸のマンション売却代金に加えて、29区画の分譲駐車場売却代金もゲットです。1粒で2度美味しいプロジェクトです。
でも駐車区画が慢性的に不足している東京など大都会なら兎も角、北九州のマンションならば1住戸に1駐車区画を敷地内に確保しなきゃ、です。
おそらく容積率の余剰分をマンション敷地とせず、駐車場として分譲する方が利益が大きかったのでしょう。

ブラックスチューディオさんに一言。分譲マンションというのは、売主ばかりを見て設計するんじゃないですよ。そこにずっと住む事になる居住者と管理組合の視点を忘れないでね!